アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
ホームページは yutakato.com 作品掲載してます。

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[告知] 美術鑑賞講座
 それから、僕がMac使いながらスライドとともに解説する美術鑑賞講座の告知です。

 今まで、西洋ver.と日本ver.とそれぞれ1回ずつやってきた不定期企画、美術鑑賞講座ですが、この秋も開催が決定しましたので、お知らせします。

美術鑑賞講座2010チラシ
 今回は、再び西洋。ゴッホ展が開催されているのも考慮して、1回目は「ゴッホとゴーギャン」、2回目は「シュルレアリスムを中心に20世紀のアート」、です。
 詳細は、上記画像をご覧下さい。

 事前申し込み制です。
 で、今月の6日から申し込みが始まったようなのですが、既に記載されている30人を数日で越えてしまったそうです。ですが、教室は60人まで入れるので、60人までは受け付けるとのことです。
 あと、2週目のブリヂストン美術館見学は、既に定員に達しこちらは美術館側の都合上、人数を増やせないそうなので、今後申し込まれる方はご了承下さい。

 今回も、きっとスライド豊富になるでしょう(←まだ準備してない)。かなりボリューミィで濃厚な講義にするつもりなので、ご都合のつく方は、是非是非ご参加下さい!


 と、文化祭やら、なによりこの講座の準備やら、アートフェア巡りやら、砂の個展手伝いやらで、11月が終盤までは忙しくなりそうでございます。
コルテオ
 ゴールデンウィークで、仙台に帰って来てます。
 そして、早速昨日、『コルテオ』を見てきました。

コルテオ

 東京公演中も、見たい見たいとは思っていたのだけれど、見逃してしまったわけで、今回見る機会があって、本当に良かった。

 途中30分の休憩を挟む2時間30分。満喫しました。
 本当にすごい!

 テントの中は、外の世界とはまるで違う別世界。その中で繰り広げられるshow。
 元々「コルテオ」とはイタリア語で「葬列」という意味のようで、死の床にある道化師が天国へ旅立っていくまでに、自身の人生を振り返る物語となっている。
 なので、途中何度も笑えるシーンがありながらも、そこは本当は生の世界と死の世界の狭間。優れた芸術は、喜劇性の奥に、深遠な悲劇性を内包している。楽しませてくれながらも、本当は1人の人間が死の世界へと旅立っていくのだ。逆説的だが、だからこそ、本当に楽しめるし、長時間見つめていられるのだろう。

 薄暗い空間は、壮大な祝祭空間となって、日常を忘れさせる。現実の世界で、夢幻的な世界を見させてくれる。死ぬという人生最後の出来事すら、滑稽で愛すべき祝祭として行われていた。
 圧倒的だった。いやぁ、面白かったなぁ。

 あまりにその質がすごすぎて、見ながら考える。
 ああ、これだけの圧倒的な空間。音楽。生身の人間が繰り広げる、身体性溢れるパフォーマンス。こういうものを前にしてしまった今、果たして、絵画はどれだけの力を持ち得るのだろう…と。この感動を味わってしまった今、どのように絵画で表現していこう…と。
 身体性は何よりもリアルだ。画家は、もの言わぬ平面で語りかけなければならない。

 本当に見ることが出来て良かった。

 余談だけれど、シルク・ドゥ・ソレイユの現在世界で開催中の新しい演目「OVO」に、友人が出演している。うーん、活躍しているなぁ。なんか触発されちゃうよね。頑張ってほしいです。
ホモ・サピエンス・パフォーマンス
 twitterに、色々と動物たちの画像をあげてましたが、昨日は動物園へ行ってみた。

 久々の動物園で、新鮮な感覚を味わっていたら、地面にじっとうずくまっている人がいた。
 ちょっと妙だったので、通行人の振りをして近寄ってみると、その人のすぐ横に、「ヒト ホモ・サピエンス」と書かれた小さなスケッチブックが置いてある。
 すぐに、ああ、この人はアーティストで、パフォーマンスをやっているんだ、と分かった。

 そのスケッチブックの逆側には、「視点を変えることで見える景色」「束縛された環境で、本来持っていた大きな世界について思いを馳せる」「見るものと見られるもの」と書かれた別なスケッチブック。
 これを読んでこのパフォーマンスは、動物たちの解放とかそういうことではなく、もっと人間にとって根本的な哲学を持って訴えかけているんだ、と思った。特に現代日本において考えを巡らすと、色々と味わうべきものがある。自由の意味。

 しばらく眺めていたら、いつの間にかギャラリーが集まっていて、少々の人だかりが出来てしまっていた。
 動物園という私有地の中だし、大丈夫かな、と思っていたら、案の定、園のスタッフと思われる人が数人やって来て、パフォーマーに聴取を始めた。

 あ〜ぁ、と思っていると、「今回だけだよ」というスタッフのおじさんの声が微かに聞こえた気がする。
 その後も、そのパフォーマーは、アートを続けだした。

 アートへの寛容の精神を見た瞬間。
 人の上に立つ人は、まるで決まり事のように、頭ごなしにダメ!ダメ!ではなく、こういう心を持って頂きたい。
 美しい瞬間に立ち会ったと思う。
日本画木曜会、文化祭へ
明日から、岸町の公民館では文化祭がある。
それにともない、僕が指導している講座「日本画木曜会」の皆さんの作品の搬入展示に行ってきた。

ちなみに僕もお願いされたので、1作出品することに。
作品を手に持って、朝の晴れた空気の中、電車に乗り公民館へと向かう。
どうも左足首が痛い。結構痛い。昨日一昨日のギャラリー巡りで痛めたのだろうか。ちょっと歩き方がぎこちない。

うーん、それにしても1年とちょっとかかって、こうして展示するまでに漕ぎ着けたっていうのは、教える側としても感慨深いなぁ。

さて、展示の様子です。
日本画木曜会 文化祭1

講師以外は額に入っているという(苦笑)。
日本画木曜会 文化祭2

皆さんと。
日本画木曜会 文化祭3

教えるという行為を通して、僕も学んでいます。
制作するのとは、まるで違う回路を使う感覚。

これからも楽しく頑張って行きましょう♪
美術カフェ PICNICA
ええと、ブログ障害や移転などで、エントリーを書いていなかった1ヶ月間の事を綴り始めていますが、そういえば、一瞬仙台へ帰りました。

その時、暇だし仙台のカフェでも探してみたら、良さそうなところを発見し、行ってみたのです。

PICNICA1

良さげでしょ〜?(笑)


店内では、常に作家の展覧会をやっているようです。
僕が行った時は、有馬涼子さんという方の個展で、こんな感じでした。
PICNICA2

入り口には、色々とグッズも。
PICNICA3

僕は、こういうとこ好きです。ヒット。
今後は、帰仙する度に、行ってみようと思います。
PICNICA4

場所は、ローカルな言い方をすると、一番町のアーケードを抜けて、元サイカワの近く。
ちなみに、2階はギャラリーになっていました。言われないと気づかない感じで、ちょっとかわいそうな…。
流記
予期せぬ嬉しい知らせは、本当に嬉しい。

あれはもう1年くらい前だろうか。N先生たちと訪れた銀座のとある画廊のパーティーで、以前紹介して頂いた詩人の方と、おそらく2度目となる再会をした。
前回会ってからだいぶ時間が経っているし、こちらの事など覚えていないだろうと思っていると、しっかり覚えていてくれて嬉しかった。

僕はその時までに、その方が書かれた詩集を検索したりして調べていたのだけれど、タイトルからして興味をそそられる。それに加わり、ご本人は大変な知識人(本当にっ!)で、話が面白いのだから、尚更だ。

詩集を欲しい、と、いきなり直球の僕は堂々と言い放ったんだと思う。
1年後とかかなり時間がかかるけれど、いつか家を片付けて、押し入れの奥から出て来たら送ります。と約束して下さった。

先日家の郵便受けを見たら、再配達のメモが。
そしてそれが、今夜届いた次第です。

田野倉康一さんで、『流記(るき)』。
いやぁ、わくわく♪
田野倉さん、本当にありがとうございます。

本『流記』

 こういった、まったく認識していなかった嬉しいサプライズは、本当に心が安らぐ。

まさに今日のN先生からのメールで、「日常世界の中に潜む祝祭空間に入る込む」ことの大きさについて書かれていて、本当にその通りだ、と激しく頷いた。
人それぞれ、祝祭空間が何なのかは違うだろうけれど、見回せばどこかにある。或いは、実は気づいてないだけで既に存在している祝祭空間を見つけられる。そう気づいただけで、だいぶ人生は輝くに違いない。
腕にだってブックバンド
前述したように、色々と不発してしまい、放心しちゃう感じにガッカリしたので、ストレス発散に、買い物(笑)。こういった時、無性に何かを買いたくなる(悪い癖)。
普段、食べ物と本くらいしか買い物をしないので、僕に取って買い物はイベントです。

個人的に素敵コレクション追加、プチお披露目。

CABANE de ZUCCa の腕時計
「BOOKBAND」

zucca時計1

説明するまでもなく、名前のように、ブックバンドっぽいです。
本読みとして、これは嬉しい♪

箱を開けると、メモ帳にブックバンドのようにくるまって入っていました。

zucca時計2

今まで使っていた腕時計が、厚くてかなり重かったので、それに比べ軽いし、カラフルなのを探してたので、まさにぴったり。
うーん、いい物を見つけた♪(経済的に後先考えてないけど。テヘ)


と、良し!更新宣言、三日坊主はマヌガレタ(笑)。
『港千尋×永原康史 情報デザイン ブックガイドトーク』
さあ、そして日曜日の色々巡りのラストを飾るのは、このトークイベント。
青山ブックセンターへ向かう。
あまりの空腹と疲労に、マクドナルドでぱくぱく。しかし、時間が迫っているので、10分くらいで脱出。会場へ。

港千尋 ブックガイドトーク

1度展覧会の記事も書いたけれど、港千尋は写真家・著述家。
うちの大学の先生なので、授業も取っていた。僕が受講していたのは「写真デザイン論」という授業だったけれど、本当に面白かったなぁー。
港先生が写真家になった経緯を話してくれた事がある。もともとは政治を大学時代勉強していたのだが、奨学金で南米へ行く事になる。当時、大学生が1人で南米を旅するなんていうのは非常に珍しかったので、どっかのカメラメーカーが、カメラとレンズ一式を「なんでも良いから撮って来てくれ」と港先生にプレゼントしてくれたそうだ。それを携え南米へ行く。写真なんてそれまで全くやっていなかったが、撮り始めると面白い。いつしか、本来の政治状況を視察するという目的を忘れ、写真を撮りまくり、完全に目的が変わっていたらしい。もう日本へ帰っても、政治方面でやっていくつもりはなく、写真でやっていこう、と決意した。南米では、赤道付近の北側から、時計回りにグルリと1年をかけて1周。さまざまなことを観て来たようだ。
ちなみに、このとき撮った写真を授業で見せてくれたことがある。良かったです。
それ以降、本当に驚くべき海外訪問を重ね(実際すさまじい)、写真家としても著述家としても、今や一流。昨年のヴェネチア・ビエンナーレでは、日本間のコミッショナーを務めた。
僕が実際に見てきた人々の中で、最大の知の巨人です。話が面白くて面白くて、大変刺激を受ける。

そんな港氏と同僚の永原さんが、「情報デザイン」を考える上で書かせない本たちを紹介するトークイベント。
本の紹介をしつつ、さまざまな話が聞けて、充実したひと時を過ごす。
わざわざ聞きにきた甲斐があった。

フランスの国立印刷所の話、文字の話、星の話、宇宙を“はかる”ということ…。などなど。
レヴィ=ストロースに誕生日プレゼントの写真集を作ったなど、一体この人は何者なのだろう…。(『レヴィ=ストロースの庭』)

そうか、グラフィックの「グラフ」は「刻み目をつける」という意味なのか。
そう考えると、家畜などの数を物に刻み目をつけて数えていた太古の人々の行動も、違った視点で見えてくる。
無知を恥じるとともに、目から鱗。

紹介された本は、どれもこれもけっこう高いのが多かったけれど(苦笑)、少しずつでも手に入れていきたい。

知は、望んだのなら、それだけのものを返してくれる。

好奇心の幅を拡げられた、そんな夜でした。
『茂木健一郎×白洲信哉 トークショー』
茂木健一郎×白洲信哉14月30日の夜、茂木健一郎と白洲信哉(白洲次郎白洲正子小林秀雄の孫)のトークショーがあると知って、アクティブ魂で行ってみた。
場所は東京ミッドタウン。六本木で花の稽古が終わったばかりのリンタロ氏と合流。

着いてみると会場が何処なのか良くわからなかったが、なんだかんだと最前列で見れた。まぁ、屋外だったんですが…。
「男の遊日」というテーマ。


茂木健一郎×白洲信哉2始まるとけっこう笑えるやり取りが続く。
いつ本気モードに入るのか?と思っていたら、終了。30分。
とても予想外の内容の無さにあっけにとられる。
以前のように、メモを大量にとる戦闘態勢だった僕ですが、1文字も書くこと無く終了。
家を出て、アクティブにお出かけするきっかけになった、くらいでした。

ミッドタウンのカフェは大変気に入りましたが。冷房がもっと弱ければ最高です。
『エンター亭 雪之丞寄席』
昨日は非常にアクティヴな日だった。
仙台系の友人が落語をやるというので、前々からバイトの休みを申請しておく。

エンター亭0803 里見

上野へ。駅で、元うちの店舗で働いていた社員のリンタロウ氏と合流。会場へ向かう。
「マカ」と「グッスミン」を差し入れに購入。対極のベクトルだ。
歩き始めるも、会場がひたすら遠い。遠すぎるので、ドトールとブックオフへ寄り道しながらも、なんとか台東区生涯学習センターへ。

ここでは、エスタックイヴこと仙台友達の彼は「梅見亭九」という名前であった。「九」と書いて「いちぢく」と読むらしい。1字で9だからいちぢく。洒落ている。
九君が落語をやるとこなんて初めて見る。話は前回の個展の最終日に遡る。搬出が終わり彼との酒の席で、「来月落語やるから来てよ」「あ、その日バイト」「個展毎回行ってるじゃん」「はい。行きます」

エンター亭0803 里見君


本番前で緊張しているはずの梅見亭九さん→




僕は落語は全くの素人。好きな気はするし興味もあるが、ほとんど触れたことがなかった。

彼の演目が始まってみると、面白い。「看板のぴん」という話。
空気を変えてしまった。
初めに、差し入れのマカとグッスミンをネタにしていたのもよかった(笑)。

落語って、多分に現代を吸収していくものなのだね。
ベースが合って、そこに時代が乗っかって、そうやって演じられるものなのだと知りました。

いやいや、いいもの見せてもらったよ。九君。
Mr.Activeとして名高い君ですが、座布団の上の君は、ますます生き生きしていました。

彼の番が終わり、早々と退出させていただく。今日はまだ長いのだ。