アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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『靉光展』
靉光(あいみつ)[1907-1946]は広島出身の画家。本名は石村日郎。昔池袋にあった池袋モンパルナスという芸術家が多く住む界隈に、1924年に上京してきて、独自の絵画世界を築きあげていった。
画家を志したのは、1922年頃のことらしく、その後画塾に通い始めた。この頃、靉川光郎と名乗るようになり、それが靉光となっていった。
シュルレアリスムと関連して語られることが多いらしく、本展でも何度か解説にシュルレアリスムという言葉が出てきた。
戦争が始まると1944年に召集を受け、終戦後1946年1月に上海の病院で戦病死した。38歳。

今回の展覧会は、そんな靉光の生誕100年を記念し、作品約120点により構成され、初期から最晩年までを一望できる機会。
会場では、時系列順に作品が展示されていた。

靉光という人は、とことんまで表現方法を模索した人で、それが非常に伝わってきた。
話をまとめようと思っても、その多様な画風を観てきてしまったのでとても難しい(苦笑)。
色んな画家の作風を吸収しようとするのも人一倍だったようで、初期の作品では、ゴッホの影響を強く受けたとされる風景画、そしてルオーの影響を強く受けたとされる人物画が展示されていた。両方ともなるほど、たしかに、である。
こうやって西洋の画家に学ぼうとするのもそうだし、そういうこと以外にも、画材の研究も取り組んでいたようで、独自の手法を用いた作品が幾つもあった。マチエールへのこだわり、非常に画材と格闘した人だというのもわかった。

全体に思ったことは、特に静物画であるが、まるでモチーフを人物として描いているような印象である。うまく言えてないかもしれないが、モチーフから受けた印象(モチーフの気持ち)のようなものを代弁した、という感じを僕は受けた。
とても多様な作品なので、一口には括れないが。

明暗が非常にハッキリした画面も特徴だが、これはドラマチックさを生む。何でもないモチーフやほとんど判別できない抽象に近いような画面でも、なにか精神的な奥行きを感じる。
明暗の話をしたが、このコントラストは明るさだけではなく、モチーフにも現れる。死んだ生物と生きた植物、などである。生と死が云々と書かれていたが、それもあるだろうが僕としてはそれよりも何でも描きたくてしょうがない欲求がそうさせたようなエネルギーを感じた。

また、静物画などはポツンと描かれ背景は色面が多い。なんとなく画家とモチーフというそれだけの関係で、モチーフを真摯に見つめた様子が伺えるような気がした。

晩年の花などは、どこか生にしがみつく、という印象を持った。
というのも、暗い画面にポッと色で描かれた花などは、「光はあるよ」「生きてていいんだよ」と言っているようだ。儚いが、とても力強い。

物や風景の奥にあるもの。精神的画面。そういうものを見つめた画家なんではないだろうか。


こうして述べた以外にも、非常に描写力のある作品やスケッチなどもたくさんある。
10歳くらいで描いたという肖像画は、とてもうまくてビックリします!
墨で書いた写実的な植物や肖像画もあり、本当に多様な作品たち。

そして、有名な《眼のある風景》も出品されている。見れてよかったぁ。
この作品もそうだが、全体として、鑑賞者は色々と考えることになると思う。頭を働かせるというか(苦笑)。
こうしてエントリー書くの大変です。
でもね、けっこう火がついた。こうして色々僕もやってみたい…!



[メモ]
生誕100年 靉光展
東京国立近代美術館 (千代田区)
5月27日まで

巡回:
→宮城県美術館→広島県立美術館





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