ニキ・ド・サンファール(Niki de Saint Phalle)[1930-2002]は、フランスのアーティスト。ヌーヴォー・レアリスムのアーティスト。
あ、女性。
●ちょっとだけ「ヌーヴォー・レアリスム」について説明●
1950年代、社会は物質の氾濫の時代を迎える。
そんな中、フランスでは「ヌーヴォー・レアリスム」という運動が起こる。
それに遅れて、ニューヨークではウォーホルらに代表される「ポップ・アート」が始まるわけである。
そう、「ヌーヴォー・レアリスム」の方が先。
「ポップ・アート」は、物質の氾濫の時代において、新しく生産、商品、溢れる物質ということを表現しようと試みたし、そういったものをモチーフにした。
それに対して「ヌーヴォー・レアリスム」は、捨てられた物質、死んだ物質を使って芸術表現をするわけです。いかに、こういった捨てられた物質、死んだ物質に生命をあたえるか、というのが命題だったわけである。
代表作家は、アルマン、セザール、ジャン・ティンゲリー、など。
そして、このジャン・ティンゲリー(Jean Tinguely)は、友人にして恋人にして夫にしてアーティスト仲間。だいぶ仲良かったと思います。
何から書こう。
とりあえず、展覧会は良かったです。おすすめ。理屈を超えて、感覚的に良い。
「アートは技術じゃない」、というのがはっきりと分かる展覧会。
ニキは18歳で美貌を買われモデルの仕事をします、『ライフ』『ヴォーグ』など一流紙で。
そして、20歳のころ絵を描き始める。
23歳で重い神経症になり、治療のために再び絵を描き始めるのだけれど、これが非常に効果があった。そこで、ニキは絵にはっきりと目覚めるわけです。
しかし、専門の美術教育を受けていないニキは、独自のやり方で描きます。
そんな時、後に夫となるジャン・ティンゲリーはこう言いました。
「技術は重要じゃない。夢がすべてだ。」
と。
これは、そうとうな勇気となったのではないだろうか。
彼女は、絵具を入れた風船を、銃で打ち抜いて絵を描いたり、「ナナ」っていう曲線豊かな女性像を沢山作ったり、架空の手紙を絵を添えて作ってみたり、ポスター作ったり、タロットをモチーフにオブジェや絵画を制作したり、と色々やっているのだが、その大部分がこの展覧会で一望できる。
特に、この手紙は面白かった。もう、なんか妄想爆発。「これだって表現じゃない!でしょ?」とどうどうと展示されているようで、その明るい配色や手紙のメッセージに、思わず魅せられてしまった。
女性としてのコンプレックスみたいなものとか色々と読み解くと深いようだけれど、僕は詳しくないので、いい加減な事は書かないでおきます。
ニキ・ド・サンファールの夢の中へでも入ったかのような展覧会。
Let's trip!!
[メモ]
ニキ・ド・サンファル展@大丸ミュージアム・東京(東京)
5月22日まで