ちょっと面白い現代アート。
ロビン・ロードは南アフリカ出身ベルリン在住のアーティスト。
彼の使う道具はチョークです。
観てもらえば早いのだけれど、なんとか説明頑張ると…
壁や地面にチョークで絵を描く。それと一緒に人物(主にロード自身)や何かしらのアイテムを一緒に撮影し、それを連続する写真として複数枚並べて展示したり、あるいはだいたい2秒1コマくらいのアニメーションのようにしてビデオ上映する、というもの。
つまり、チョークで絵を描いてそれに見合ったポーズをして撮影、そしたら、チョークの絵を描き足したり、消して位置を動かしたりして、またそれに見合ったポーズをして撮影、というのを繰り返し、1つのストーリーにするわけである。
地面に自転車を描いて、実際の子供がハンドルに掴まり振り回されていて、バックからは本などがどんどん後方へ飛んでいく。
あるいは、壁に車を描いて、その絵を動かしながらロード自身がタイヤ交換をしたり整備したりする。
また、ロードが種をまく振りをして、壁に種や生えてくる植物を描き、ロードが実物のじょうろで壁に水をまき、壁の植物は生長して、それをロードが刈り取る動作をして、壁に描かれた植物を刈り取ったり、それに柵をつける動作をして柵を描き、その前でロードが眠って番をする、
など。
(
作品については、ここを見てもらうとちょっとは伝わるかも…)
いわゆるチョークでの落書き、をアートにしている。
その絵と三次元の人間が組合わさる。
絵は停止しているが人間は動く。
動くんだけど、わざわざコマ撮りして、静止画の連続として見せている。
時間性はあるのだけれど、1枚1枚は極めて停止している。
壁と地面とチョークという極めて安価な素材によるアート。
またこういった行いは、子供の頃の「お絵描き」の出発点かもしれない。遊びだった頃。
しかし、この手法を使う事によって、ちょっと異空間的な演出や、現実には極めて困難な動きを表現する事も可能となる。
身体性のない絵画に、身体を取り入れること。何の変哲もない場所を、自分の空間にできる事。
日本でこそ、何を勘違いしたかニューヨークカッコいいじゃんみたいなバカなただのいたずらというか、どうしようもないグラフィティ(壁の落書き)だけれど、もともとは、南米から奴隷として連れてこられた黒人達のバックグラウンドがあって、言ってみれば必然的に生まれたという理由がある、つまり人種、教育、貧富などが絡んでの背景のあるグラフィティ(この事に限らず、音楽や映画も然りですが略)。
それをこうしてアートとして提示している。
色々と考えたり興味のある展覧会だった。
(看板などがなかったので、写真はありません。)
[メモ]
ロビン・ロード展@
資生堂ギャラリー (銀座)
7月30日まで