さあ、始まりました。ダリの
展覧会。
23日に始まったばかり。
平日の昼前に着いたのだけれど、……混んでいた。すでに。
藤田嗣治超えてるかも。
まず最初に告ぐ!
なるだけ早いうちに、しかもできれば平日に、さらに言うと早い時間に行きたまえっ!
さて、
サルバドール・ダリ(Salvador Dali)[1904-1989]は、言わずと知れたスペインの画家。20世紀を代表する画家の1人であるとともに、
シュルレアリスムを代表する画家として多くの人が真っ先にダリを思い浮かべるのではないだろうか。
シュルレアリスムについては、以前「
UTによるシュルレアリスム講座」を書いています。展覧会へ行く前に、目を通すといいかもしれません。
ダリは絵画だけでなく、ダリのイメージを表現する手段として映画に非常に興味を示し、映画監督
ルイス・ブニュエルと共同で映画作品を作っている。
それが、『
アンダルシアの犬』(
amazon)である。
今回の展覧会の解説で知ったのだが、ダリの名前が初めて日本のメディアに出たのは、この『アンダルシアの犬』の記事だったらしい。1930年のこと。
この映画は、いきなりしょっぱな冒頭で、女性の眼球をカミソリで裂くところのアップから始まるというショッキングな幕開け。僕はDVDをもっているので、是非ともキャプチャーして画像を載せたかったけれど、現在我が半地下は、DVDを置いてある棚がパネルで完全にふさがっていて、取り出すことができない。なんとも悔しいが割愛させていただきます。
ちなみに、ダリはマドリードの「学生館」で暮らす時期があった。「学生館」とは、カトリック思想に基づいた保守的な教育方針を批判し、教会の手によらない自由な学問によって社会を変革する力を育成することを目的とした学生寮。ここで、
以前『血の婚礼』を紹介した詩人・戯曲家ガルシア・ロルカなどと知り合った。
さて、シュルレアリスムについては以前書いていることだし、ダリの人生やダリの「唯一の女性、ミューズ、コーディネーター」である妻ガラとのことについて書いたりすると、途方もない長いエントリーになりそうなので、そろそろ展覧会の感想にいこうかと。
ダリと言うネーミング・バリュー的なもので話題を呼ぼう、みたいな物かと思ったら、ダリの10代の頃の作品から晩年の作品まで、ダリのアートワークを一望できるいい展覧会だった。
初期の自画像、シュルレアリスムの表現、原子核神秘主義、偏執狂的批判的方法、ダブル・イメージ、など非常に幅広くダリの作品を見ることができる。
油彩はもちろん、素描、若い頃の落書きのような物、途中には『アンダルシアの犬』を上映しているスペースもある。
観ていて思ったのは、思っている以上にダリは世の中の出来事に興味を持ち、そして作品にそれらを反映させていたということ。
原子は常に動いていることやアインシュタインの相対性理論等の影響で、モチーフの生物が素早く動いているかのような絵や、時計が溶けてみたり(カマンベール・チーズというのももちろん理解してますよ)、世の中の出来事、科学の発見に興味があったのが、敏感だったのがわかる。
色んなイメージが1枚の絵の中にあったり、とてもエロティックであったり、鑑賞者はその絵画に想像を巡らせ、世界観を味わう。
いずれにしても、いっけん良くわからない、そして意味が無いようなダリの絵画。しかし、本人も言っているように、そこにこそ一貫した意味や真実がある、ということを執拗に追求している。
展示の最後の部屋に、「立体鏡作品」というのが2作ほど展示されている。
《六つの本当の鏡のなかに仮に映し出される六つの仮想の角膜によって永遠化される、背後からガラを描く背後から見たダリ》
《太陽の後ろはるか遠くに全裸で出現するガラを見るために雲の形をした金羊毛を開けるダリの手》
である。
これは、ほとんど同じだが微妙に異なる2枚の絵で1つの作品となっていて、それらが左右に並んで展示されているのだが、右目で左の絵、左目で右の絵を観ることによって(所謂、現代のマジックアイとかそういう感覚)、立体的に作品が見えるというもの。会場でチャレンジしたが人が邪魔だし、作品の間隔が広いので、すっげー無理だった(苦笑)。
が、筆者UTさん、このエントリー書きながら、たった今図録を見て再チャレンジしました……できたぁっ!!おぉぉ、立体的っ♪
皆さん図録を買いましょう(笑)。
かなり、ボリュームある展覧会だと思います。
さすがに《記憶の固執(柔らかい時計)》(最初の)とか《内乱の予感(茹でたインゲン豆のある柔らかい構造)》とかは来てないですが、それでも見応えはあると思います。
見て損ない展覧会。
ちなみに…
『サルバドール・ダリ 世界が愛した芸術家ダリの超現実的な人生』(以前のダリのDVDの記事)--
まかロールさんの記事にTB--
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preludioさんの記事にTB--
(2006/10/31)
[メモ]
生誕100年記念 ダリ回顧展@
上野の森美術館 (上野)
1月4日まで