『
ヘッセ詩集』
著:へルマン・ヘッセ 訳:高橋健二 (新潮文庫) 420円
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9月8日以来の
本の記事(苦笑)。
ヘッセです。
今までのヘッセの記事は・・・
・『
郷愁(ペーター・カーメンチント)』
・『
クヌルプ』
・『
荒野のおおかみ』
・『
シッダールタ』
・『
メルヒェン』
・『
青春は美わし』
・『
幸福論』
・『
ヘルマン・ヘッセ展』(展覧会)
ヘルマン・ヘッセ(Hermann Hesse)[1877-1962]について、中表紙の著者紹介から引用すると、
ドイツの抒情詩人・小説家。南独カルプの牧師の家庭に生れ、神学校に進むが、「詩人になるか、でなければ、何にもなりたくない」と脱走、職を転々の後、書店員となり、1904年の『郷愁』の成功で作家生活に入る。両大戦時には、非戦論者として苦境に立ったが、スイス国籍を得、在住、人間の精神の幸福を問う作品を著し続けた。’46年ノーベル文学賞受賞。
この本で、新潮文庫で現在普通に売られているヘッセに関しては最後。
ということで、今までヘッセかなり読んできましたが、最後に詩集。
最初に結論から言うと、僕にとってですが、ヘッセは詩人ではなく小説家である。この本を読んでそう思った。
やっぱね、ヘッセは小説の方がいいよ。
なんていうか、この詩集はすっごいヘッセ完結というか、なんというか。
思ったのだけれど、詩って共有って言うか共感みたいなものを読み手に対してあまり求めない。というか、そうしちゃうのはあんま良いことじゃないよね。作者の世界とか感動を言葉に乗せて調べとして紡ぐもの。あまり読み手を意識しないというか。感情や感覚とか刹那な感じとかが許される。ついて来れる人はついてきて、みたいな。
それに対して小説は、もちろん作者の世界なのだけど、でもどちらかというと読み手を意識するもので、共感を求める。伝えようとする意識が強い。
だから、そういった点において、ヘッセに僕はあまりシンクロしなかったのかな。いや、シンクロ云々っていうより、単純にあまり良いと思えなかった。となると、全体として僕に対しては外した感じになるのは当然で。
「おいおい」みたいな。ん〜〜、ってなっちゃたのです。
ヘッセに心酔して感覚が先入観みたいな感じになっていると、いいねぇ、とか言ってしまうのかもしれないけれど、ちょっとそうは思えなかったな、と。
あ、ただ、これは翻訳にも問題があるのかもしれない。いや、ヘッセ訳は高橋健二氏で間違いないし、彼の訳の作品が大好きだけれど、この本に関してはいただけなかった。
まぁ、当方はドイツ語かじっただけなんで、原書読む力ないし、果たしてこれがどうなのかの判断にあまりとやかく言えませんが。
前にも何度か言ったと思うけれど、ヘッセは小説自体が詩的で、作品が詩のようだったりする。
あと、作中に挿入される詩は良かったりするんだよ。
ただ、彼の詩集として今回のは、こんなに大量に読んでもなぁ、内容もなぁ、と。
あ、でも、中にはいくつもいいのありましたよ。うんうん。全部が全部ってことじゃないです。
だから、僕としては、やっぱ作家だな、と。
いくつかの小説作品が良すぎるっていうのもあるかもしれないけれど♪
これから他の作品を読むのが楽しみです♪