もりもりと復帰戦中。
都路華香(つじかこう)[1871-1931]は、京都出身の日本画家。満9歳で幸野楳嶺に師事、は、早い。恐らくあまり知られていない、僕は今回初めて知った気がする画家。それもそのはず、1932年以来初の大規模な展覧会らしい。
当時の京都では、
前に記事にした竹内栖鳳等とともに楳嶺門下の四天王と呼ばれていた、実力派。
会場は非常に空いていました。ガラガラ。
作品数もそれほど多くなくちょうどいい感じで、ゆっくりと観れます
時系列順に展示してあったと思うのだけれど、最初の方は、日本画家としての技量をしっかりと感じることのできる作品たち。
迫力のある屏風であったり、幽玄な桜であったり、寒山拾得などの題材などであったり、松林などの風景であったり。
これはこれで良かったし、綺麗な画面で好きでした。
鳥や魚など、見事!
だんだんと時期が進むにつれ、こういった傾向から変化が生じてくる。
アカデミックな作品から、新たな作風と言うか新たな日本画のようなものを創造しようとしているのが、顕著にわかるようになるのだ。
絵具の使い方は大胆になり、フォルムもだいぶ崩されてくる。
何と言うか、事細かには描かないという感じだろうか。
絵の成立、を追求しているように感じた。
形体や色彩の配置、構成によって鑑賞者の目を楽しませてくれるのである。色彩と構図は重要な要素だろう。
また、ぼやっとした絵具遣いの作品も増えてくる。これから、あるときはジメッとした感じ、あるいは爽やかさ、時には柔らかい空間を伝わってきた。
しかし、全体とすると、やや物足りない感じ。見る前の期待感に充分応えてくれるものではなかった。
正直、ヘタウマっぽく感じてしまう部分もある(もちろんしっかりした技術あってこそ、なんだけれど)。
だからなのかはわからないが、その分、絵に取り組む画家のリアリティの様なものを感じた。
[メモ]
都路華香展@
東京国立近代美術館 (千代田区)
3月4日まで(途中、展示替えあり)
巡回:→笠岡市立竹喬美術館(3月10日から4月15日)