アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
ホームページは yutakato.com 作品掲載してます。

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◆5月の掲示板的な◆
作品 200705

引っ越して脱半地下しましたが……
とりあえず、このブログのタイトルは現状維持で。
ようこそ、「半地下の手記」へ。
いや、急に変更してもややこしいと思うので。

都心が近いというのはこんなにも便利なものなのかと感動している最近です。
フットワク軽くいきたいっ♪

早く絵を描いて新たな感じの作品とか見せたいんですが、如何せんまだ態勢が整っていないので……。
旧作で申し訳ないです。

今後の個展もよろしくです♪

それはそうと、ホームページなんぞを作ってみようかなぁ、あった方がいいかなぁ、などと思ってみたり。どうだろ。



[画像]
《記憶の予感》
2006/10/23
岩絵具、アクリル絵具、板
91.0×116.7cm
《Expectation of Memories》
Powdered mineral pigments and acrylic on wood
※画像の無断転載・転用は禁止です
夜明けのハーブティー
さてさて、これがハーブティーや紅茶たち。
ハマると本当におもしろい。良い薫りだし、おいしいし、名前が面白い。
抽出しているときは、植物を漉している感じ満々で、いかにも体に良さそう。
紅茶 南蛮屋

町田の「南蛮屋」というところで買いました。
銀座にもあるようで、今後はそちらで買うでしょう。

初回購入は
●蓮の花(フレーバーティー)
●夜明けのハーブティー(ハーブティー)
●キウィ・ストロベリー(ハーブティー)

心の贅沢探求(笑)。
実は仙台
すっかり料理っ子。

前にもお話したように、UTさん料理してます。
ニラレバ、野菜炒め、チャーハン、などを経て、最近はペペロンチーノにこってみたり。
ホントすべてが未知の世界なので、ペペロンチーノがペペロンチーノになるまで長かった・・・(笑)。面が揚がったり、辛すぎて唇が火事どころか目まで火事だったり(苦笑)。
が、先日ついにペペロンチーノをものにし、得意満面っ!
オムライスも作ったですよ。
ええ、素人にはこんなことすら嬉しいんです。いいじゃないか。


新作の制作も開始しているし、なんか、うん。
画材は渋谷の画材屋で買うのだけれど、そのことも展覧会も移動が楽で、快適。
今までと比べすべてが近場な感覚。


それはそうと、来月から新しいバイトが始まるので、卒業以来帰っていないし、短期仙台留学中。いや帰仙中。
昨日は徹夜明けで帰ってきたので0時くらいに寝て、今朝は5時に目が覚めたため、こうしてエントリーを書いている次第でございます。すぐ帰りますが。

えぇ。
さっそくペペロンチーノ振舞いましたとも・・・(笑)。
『ヘミングウェイが愛した街 1920年代巴里の画家たち展』
展覧会『ヘミングウェイが愛した街』

単に有名な画家の作品をぱらぱら見せとけ的なものではなく、ヘミングウェイがパリに生きた時代、彼と交流を持ったアーティストを軸として、展開される展示。
いかに当時のパリ、特にモンパルナス界隈が才能あるアーティストたちで溢れていたかを浮き彫りにし、その活気を改めて確認できる内容である。

最初は、ヘミングウェイが交流を持ったアーティストが写真とともに紹介され、さらにパリのマップが大きく展示してあり、いかに芸術の動きがパリで活発だったかを知ることができる。

しかし、本当にすごい交流網というか、こういう面子がカフェでわいわいやっていたかと思うとびっくりするよ…。ナンテコッタイ。
すごい刺激だったろうなぁ。

エコール・ド・パリという言葉は聞いたことがあるでしょう。特徴として、フランス以外の国のアーティストがパリに集まっていたということ。
日本からは藤田嗣治が、ピカソはスペインですね。シャガールはロシア、モディリアニはイタリア、といったように。

いかに芸術が熱く、力に溢れていたか、を感じることができる展覧会。
フォーヴの表現とは違った寂しい画面の作品を観ることができるヴラマンク、それとマルケなんかが良かったです。
有名な画家の作品が見れます。
解説も良いです。だってN先生監修の展覧会ですもの!!

今なら、こないだの内田あぐり展とあわせてみれますよ。同じ高島屋です。



[メモ]
ヘミングウェイが愛した街 1920年代巴里の画家たち展
日本橋高島屋8階ホール (日本橋)
6月4日まで
『内田あぐり展』
内田あぐり[1949-]は、日本画家。創画会所属。
その強烈なフォルム、物質感、色彩。日本画の中ではけっこう気になっていた作家さん。

今回の展覧会は、前回の平塚市美術館での個展に行き損ねたので見てみたかったのです。

大作が2点とドローイング。
こう書くと、少ない、と思うかもしれないですが、まず大作にパワーがあります。
そして、ドローイングの展示の仕方が変わっていて、アトリエの環境を会場の一角に持ってきて、机や道具が散乱している所、作品であるドローイング(ダンボルに描かれたりしている)が 、壁に画鋲で留めてあったり。なんでも本当に普段のアトリエそっくりだとか。
置いてある箱にも、ちょちょちょっと絵が描いてあったりして、なんか生活感ならぬアトリエ感が滲み出ていて面白い。
と、そんな感じでドローイングとインスタレーション的なものもあるわけです。

絵(人物画)は、力を感じさせる荒々しさだったりするんだけれど、それは決して雑とかではなくて、もっと根源的な何か、を感じさせる。内に宿っている力、とかそういった感じだろうか。
表面のマチエール(絵肌)。非常に物質の存在感があって、こういう所にも魅力を感じる。
根源的な力に岩絵具という物質。
物質自体の強さがうまく使われていて、それも相まって、不思議な感覚を受けた。

点数は少ないけれど、なにか他とセットで観るといいんではないかな、と思います。



[メモ]
内田あぐり展 -在ることの証明-
日本橋高島屋 6階美術画廊X (日本橋)
6月5日まで
『大谷有花 展 -picnic-』
展覧会『大谷有花 picnic』

以前も何度か見た画家さんですね。
大谷有花[1977-]は画家。
独特の強烈の配色です。

以前のイメージで観に行ったのだけれど、なんというか、抵抗なく観れた。
僕は、今回の方が好きだ。
突き放されず、柔らかい。

色々なイメージが描かれているのだけれど、はっきりとはしない。だから我々はそこから想像を膨らませることができるし、自由に入り口を作れる。
だが、果たしてそれは自分のイメージの中へ入っているのだろうか?それとも作家のイメージ空間の中か?



[メモ]
大谷有花 展 -picnic-
GALLERY MoMo (六本木)
6月2日まで
『大回顧展モネ』
展覧会『大回顧展モネ』

すごく出遅れた感がありますが、初国立新美術館。
そう、モネ展です。

クロード・モネ(Claude Monet)[1940-1926]と言えば、言わずと知れたフランスの画家ですね。日本人の最も好きな画家なんではないでしょうか?
モネと言えば印象派ですが、印象派については以前「UTによる印象派講座」で書きました。印象派がイマイチなんなのか良くわからない方は、目を通していただくと、わかるかもしれません。
…ということで、印象派のことはすでに以前解説したので省いて、その印象派の最も代表的な画家であろうモネの作品が90点以上来ているのだから、それはそれは混みますよね(苦笑)。
モネはキャンバスを屋外に持ち出す、移ろいゆく光を捉える、ということを実践して例の筆触分割の技法により保守派層から散々馬鹿にされたわけですが、それでも巨匠へと上りつめました。自宅のジヴェルニーに日本風の庭を作ったことは有名でしょう。睡蓮もそこで描かれたわけです。
が、そんなモネも、晩年は白内障によりどんどん視力を失い、最後はほとんど失明に近い状態になりました。それでも絵筆は握り続けたわけですが、この辺のことは展覧会の感想と絡めて書きます。

展覧会自体は混んでいて、ゆっくりとまともに観ることはできなかったので、離れて鑑賞しました。
来ている作品自体は良い作品がたくさんあるので、楽しめると思います。
が、問題は人で(苦笑)、皆さん絵のそばで食い入るように鑑賞なさっている。…まぁ、これがレンブラントとかなら良いんですが、モネの絵はそんな風にしても本当の鑑賞をしているとは気の毒ながら言えません。
上にもリンクを張った印象派講座で書きましたが、筆触分割による網膜混合で光を表現しているわけです。絵に近づいてみたところで、あるのはごてごてした荒々しいタッチ。例えば、テレビをや映画をしっかりみたいからといって、画面に目を接近させて、モニターのドットを見ますか?見ませんね。それといっしょで、ここの絵は、ある程度の距離を置いて網膜上で色を混色させることで、初めて生きます。「絵画的」に混色されていないので彩度の高い色(絵具)が並んでいて、それを視覚が混色するわけなので、最も鮮やかな光の表現を見ることができるわけです。この時、不思議と色の問題だけではなく、フォルムも非常に細密に見えるからすごいっ!

観てて思ったのは、光の表現もうまいのだけれど、僕は影の表現のうまさに今回は目が行った。これによって、より明るい部分が引き立っているということもあるのだろう。
なんというか、柔らかい影。光と影が、表裏一体だな、という気がしてくるような影。影の中に五彩を見る、というか、豊かな影なのです。


んー、あまり考え込まずに、綺麗だな、と楽しめば良いと思います。

…が、最後の方は、非常に荒々しいタッチで、色もドカドカと塗ってあって、網膜混合もあっちゃもんじゃない、という絵になります。色面も大きくなるし、順を追ってみて行くと、「あぁ、このおじさんついに壊れたのか…」と思ってしまうかもしれないような。
が、それは、先にも述べた通り、白内障による視力低下が関わってきます。
どんどん見えなくなり、失明寸前まで行ったモネ。
そんな中でも描くことを続けたわけですが、その絵にあるのは…
私は生きているんだ!
という、叫び、喜び、です。
確かめるように、証明するように。描くわけです。
ぐちゃぐちゃの画面と思うかもしれないですが、ここにあるタッチは、それまでの美しい絵を描くための計算されたタッチより深く、その一筆一筆は重い、と僕は感じました。


混んでなければね、と言いたいけれど、しょうがないんだからしようがない。
というか、会場でふとゾラの『制作』の中のサロンの風景を思い出して、「まだましか」とか思ってしまった(笑)。


それはそうと、モネ以外にも、若干モネから影響を受けた画家たちの作品もてんじされているんだけれど、
……またしてもロスコと遭遇っ!!現代美術館に続けてラッキー♪
ことごとく周りのお客は誰も相手にせず「はぁ?なにこれ?」みたいな感じでしたが…。



--ゆきリンさんの記事にTB--


[メモ]
大回顧展モネ 印象派の巨匠、その遺産
国立新美術館 (六本木)
7月2日まで
『澁澤龍彦 -幻想美術館』展
展覧会『澁澤龍彦 幻想美術館』

今年は澁澤龍彦展覧会ラッシュの年である。
現在、この展覧会を含めて3つが開催されているし、このあとも多数の展覧会が企画されている。それらは最後に紹介するとして。

カリスマ、という言葉がしばしば使われるが、澁澤龍彦はまさにそれであって、芸術界に影響を与えるほどのカリスマ性を持っていた人。
澁澤龍彦(たつひこ)[1928-1987]は、フランス文学者・批評家・作家。本名は龍雄。(ちなみにフォントの関係で「彦」と表記しているが、正しくは画像の字を見てください)
当時まだ光が然程当たっていなかった西洋のアーティストを日本に紹介したり、コクトーやユイスマンスなどの作品を翻訳して日本に紹介。マルキ・ド・サドの紹介も行うが、翻訳出版した際、卑猥な内容故に発禁処分を受け、サド裁判の被告人となった。
多くの芸術家と交流を持ち、互いに影響を与え合った人で、三島由紀夫、土方巽、細江英公、瀧口修造、…などあげ始めるときりがない。
所謂王道とは違う、美術史や一般論にとらわれず、神秘や幻想を取り扱うアーティストなどに注目し、光を当てた人。


非常に楽しみにしていた展覧会で、埼玉ナイスッ!(笑)という具合で行ってきました。爆風により電車のダイヤは滅茶苦茶でしたが。

非常に良くできた展覧会で、澁澤ファンはもちろんそうじゃない人も一見の価値がある。
展覧会は編年体で構成され、時系列順に澁澤が注目したアーティスト、交流を持ったアーティスト、の作品が展示してある。
パネル解説も多く詳細で、歴史を追いながら作品群を楽しめる展覧会。

作品数は300点を超える。
観ていて、澁澤龍彦という人の先見性と嗅覚の鋭さに気づく。例え当時知られていなくても、今こうして見て行くと、充分名前の定着した作家は多い。
そしてどの作品も妖しい魅力に満ちているのだ。シュルレアリスム、エロス、神秘、幻想、澁澤のアンテナの反応した世界が広がっている。

解説を読んでいてつくづく思うのだが、こうして色んなセンスあるアーティストと交流を持ち、互いを結びつけ、活動が歴史に刻み込まれた、というのは極めて大きな功績だろう。

先に挙げた他にも、意外や伊藤若冲や酒井抱一、加山又造など日本美術、池田満寿夫、加納光於、横尾忠則、四谷シモン、などなど他にも沢山、海外では、デューラー、ルドン、クレー、デルヴォー、マグリット、レオノール・フィニ、……んー、他にも列挙しきれない多くの作家の作品が展示されている。

それにしても、功績や為した仕事のこととは離れて考えた時、これだけ多くのアーティストがつまり人間が、澁澤龍彦という人の周りに集まって好意を持ち、親交を持った、ということに、人を惹きつける人間性というものが備わっていたのだろうと思う。なんというか…すごいな、と思ってしまう。

最後の部屋にあった四谷シモンの作品《天使--澁澤龍彦に捧ぐ》を観て泣きそうになって、お腹いっぱいで会場を後にした。

良い展覧会。こういう世界を堪能してください。



なお、最初に述べた展覧会ラッシュというのは…
・澁澤龍彦 カマクラノ日々 @鎌倉文学館 7月8日まで
・澁澤龍彦の驚異の部屋 @ギャラリーTOM 5月20日まで
・澁澤龍彦・堀内誠一 旅の仲間 @C・スクエア(中京大) 6月25日から7月28日
・澁澤龍彦 幻想文学館 @仙台文学館 9月15日から11月25日



[メモ]
澁澤龍彦 -幻想美術館
埼玉県立近代美術館 (さいたま市)
5月20日まで

巡回:
→札幌芸術の森美術館→横須賀美術館
『杉戸洋展』
展覧会『杉戸洋』

杉戸洋[1970-]は、愛知県出身の現代美術家。
作品はアクリルで描かれているが、愛知県立芸術大学の日本画専攻を出たということもあり、岩絵具も若干入っているようだ。
絵は、シンプルでペールトーンのやさしい色遣いの画面。画面の両端にカーテンがあって、画面自体が舞台っぽくなっていたりする、というのが僕の持っている氏の印象。

稀に僕の作品の話をしていると「杉戸洋」という名前を挙げられることがある。
僕はこれが不本意だ。

今までちゃんと生で、まとまった数を見たことが無かったと思うので、この機会に(都合良く画廊は現代美術館と同じ清澄白河駅から行くのです)見てみることに。


実際に見てみると、結構想像していたのと違う。僕が知っていたのは、比較的旧作だったのだろうか?今回観たのはかなり粗い塗りであった。
んー…、あまり良いとは思えないんだけれど……。どうなんでしょ。
えっ?…と思ってしまったのですよ。なんかネットや画集で目にしていた作品の方がいいなぁ。

とにかく、見たので満足。



[メモ]
杉戸洋 展 空への近道
小山登美夫ギャラリー (江東区)
5月26日まで
追記:東京都現代美術館『常設展』と《明日への神話》
で、マルレーネ・デュマス展のあと、地下でやっている『Show Me Thai -みてみ☆タイ-』という日本とタイの修好120年記念の展覧会を観てみる。極めて高速にさらっと。
「ナウィン」に尽きますっ!!(笑)
ナウィン党に入ろうっ!
ナウィンを探そうっ!
うぇるかむ!ナウィン・パーティー!
(笑)
意味わかんないでしょうけど、行けばわかります。思わず笑いました。
極めつけは、「ミュージアム・ショップでナウィンカレー販売中」
…………衝撃。


で、常設展へ行くわけです。
以前、川村記念美術館へはるばる観に行ったロスコの絵も出ていた♪絵の前でしばし立ち止まっていました。1点ですが観れますよ。

他にも、大竹伸朗とか加藤美佳とか奈良美智とか会田誠とか吉原治良とか蔡國強とかステラとかリキテンスタインとかリヒターとかウォーホルとか出てますが、今のメインは岡本太郎の近年公開された大作《明日への神話》です。


ほら↓
撮影させてもらえました♪
岡本太郎 明日への神話

そんなわけで、常設展もあわせて楽しみました。



[メモ]
MOTコレクション 2007年度 第1期
東京都現代美術館 (江東区)
7月1日まで

《明日への神話》特別公開
2008年4月13日まで