こないだの木曜日。始まったばかりのモディリアニ展へ行った。
モディリアニと言えば、去年「
モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」へ行って、改めて、良いなぁ、と思ったということは、その時記事に書いた。今回はモディリアニの単独展示ということで、楽しみにしていたのです。
アメデオ・モディリアニ(Amedeo Modigliani)[1884-1920]はイタリア出身の画家。パリのモンパルナスを拠点に活躍する。エコール・ド・パリを代表する画家の1人であり、重要な画家である。
以下、前回の記事から引用すると、元々体は弱かったようだが、その美貌で恋多き人生だった。パリに移ってからは、女たらしとして知られ、酒と麻薬に溺れ、貧困の中荒れた生活を送り、結核性脳膜炎で35歳で死去。その悲劇的な人生は良く知られたところである。
ジャンヌ・エビュテルヌ(Jeanne Hèbuterne)[1898-1920]は、画家でモディリアニの最後のパートナー。解説を読んだ限りは結婚はしてないのかな?ただし、婚約はしていた。モディリアニとの娘も1人いる。彼女に関する資料はほとんどないらしく、モディリアニと出会う前に関しては、良くわからないらしい。
モディリアニが32歳の時、当時18歳のジャンヌと出会い恋に落ちる。その後、生活をともにし、モディリアニが35歳で死んだ2日後に、ジャンヌもアパルトマンの6階から身を投げ、悲劇的な最期をとげた。その時、お腹の中には2人目の子供を妊娠中だった。
さて、展示は数多くのモディリアニ作品が一堂に会し、初期から晩年まで様々な作品を見ることが出来る。その甲斐もあって、初期の所謂モディリアニっぽくない、モディリアニ的なスタイルに到達する以前の作品なども見ることが出来た。
今回の展覧会では、プリミティヴという言葉が多用されキーワードになっているようで、つまりプリミティヴ(原始美術)から受けた影響に力が入っていた。
モディリアニに限らず、ピカソなどのアトリエにも、ある時期突然アフリカの彫刻や仮面が収集されるようになった時期がある。当時彼らは、こういったアフリカなどの民族が持つ原始美術に強い影響を受ける。ピカソなんかはそこから《アヴィニョンの娘たち》などへ至るわけだ。
モディリアニも相当に影響を受けたようで、その様は展示を観ていると明らか。
僕としては、こいうったものにはあまり熱狂したりはしないけれど、興味深く鑑賞。
美しいものを作ろうとする場合、「美」という観念がある。それは、芸術家にとっては切実な問題であるが、一般的に考えた場合、軽く言ってしまえば余剰のものであろう。
しかし、原始的・民族的な美術について考えを巡らせてみると、そもそも彼らには美術作品という観念はないであろう。アルタミラ等の壁画も然り。
それはつまり生活の一部として存在していたということだと思う。五穀豊穣を願ったり、狩りの獲物を神に祈ったり、などなど。日本でも、有力者が死んだ場合、一緒に埋葬した美術品などがある。作品として手元に置いておくという考え等無く、王が寂しくないように、とかそういった発想だ。
これらの作品は今でこそ作品としてポジションを与えられており、またこうしたことからその作品には呪術的な魅力があるのだと思う。
なんというか、言語化できないようなフォルムだとか、人間の祈りの部分に触れるような、そんな感覚。
モディリアニっぽいスタイルの作品は、前回のBunkamuraでの作品とダブるところも多かった。まぁ、良い作品だったから問題ないのだけれど。
ただ、同じようなテーマの、つまりメランコリックで哀愁漂う人物像であるが、そういった作品でも、やはりぐっと惹き付けられるものとそうでないものがある。
暗い色調がほとんどだが、モディリアニの作品はその色が美しい。作品の雰囲気を、見事に全体の色が支えている。
しっかり塗られている作品がある一方、極めて薄塗りで下地やキャンバスが見えてしまっているものもある。しかし、作品を見たとき充分な深みと存在感があるからすごい。逆に、こってり塗っていても、存在が薄っぺらく感じられ、長く見る気になれない作品もある。やはり芸術作品の強さは技巧ではないと僕は改めて認識した。技巧云々しているうちは、いつまで経ってもこういった画家たちの世界は遠くにあるだろう。
開始2日目ということもあって、モディリアニとしては非常に空いていた。好きなだけ観れる状況。
行って損は無いと思います。
モディリアニの前は、銀座の画商さんのところへ行く。個展で買って頂いた作品にサイン等を入れる。額装が進んでいるらしい。
お昼をごちそうになり、その後コーヒーもごちそうになりながら、色々と話をする。
いやいや、飛べそうです。とても実のある話となりましたよ。作品をものすごく気に入ってくれているのが何より。
色々とフィールドが広がりそうで、そういったことが期待できる話し合いとなりました。
あぁ、こないだの個展で本当に良い出会いができたなぁ、と改めて感動。
終了後、書店フレンドさんと待ち合わせ、六本木へ行きモディリアニ。
観賞後は、地元駅のわりと近くにあるカフェへ初めて行ってみる。これがすごく雰囲気が良く、秘密基地にしたいような場所。本を持ってまったりとした時間を過ごすのにうってつけな感じ。リッチなときは通いたいと思った。
[メモ]
モディリアーニ展@
国立新美術館 (六本木)
6月9日まで