アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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流記
予期せぬ嬉しい知らせは、本当に嬉しい。

あれはもう1年くらい前だろうか。N先生たちと訪れた銀座のとある画廊のパーティーで、以前紹介して頂いた詩人の方と、おそらく2度目となる再会をした。
前回会ってからだいぶ時間が経っているし、こちらの事など覚えていないだろうと思っていると、しっかり覚えていてくれて嬉しかった。

僕はその時までに、その方が書かれた詩集を検索したりして調べていたのだけれど、タイトルからして興味をそそられる。それに加わり、ご本人は大変な知識人(本当にっ!)で、話が面白いのだから、尚更だ。

詩集を欲しい、と、いきなり直球の僕は堂々と言い放ったんだと思う。
1年後とかかなり時間がかかるけれど、いつか家を片付けて、押し入れの奥から出て来たら送ります。と約束して下さった。

先日家の郵便受けを見たら、再配達のメモが。
そしてそれが、今夜届いた次第です。

田野倉康一さんで、『流記(るき)』。
いやぁ、わくわく♪
田野倉さん、本当にありがとうございます。

本『流記』

 こういった、まったく認識していなかった嬉しいサプライズは、本当に心が安らぐ。

まさに今日のN先生からのメールで、「日常世界の中に潜む祝祭空間に入る込む」ことの大きさについて書かれていて、本当にその通りだ、と激しく頷いた。
人それぞれ、祝祭空間が何なのかは違うだろうけれど、見回せばどこかにある。或いは、実は気づいてないだけで既に存在している祝祭空間を見つけられる。そう気づいただけで、だいぶ人生は輝くに違いない。
靄が晴れて
朝、調子がすぐれず。家を出るも、戻る。

その後、眠りについて、目覚め、ぼーっとしていると、突然、ついに待ち続けていた感覚が。
つまり、エンジンがかかり始めた気がする。冬眠中の頭と体が目覚めた感覚。

クレーは、チュニジアを旅してまばゆい光と色彩が自身を捕らえ、「私は画家だ」と気づき日記に書いた。
そのような、清々しい感じ。靄が晴れて、なんとなく頭の中がクリアになった、そんな気がする。
胎動するエネルギーを感じる。
溜め続けたものが、少しずつ形になり始める予感。

そうだ、停止している勿体ない時間なんか無いはずじゃないか。
目指すは、エンジン全開。
腕にだってブックバンド
前述したように、色々と不発してしまい、放心しちゃう感じにガッカリしたので、ストレス発散に、買い物(笑)。こういった時、無性に何かを買いたくなる(悪い癖)。
普段、食べ物と本くらいしか買い物をしないので、僕に取って買い物はイベントです。

個人的に素敵コレクション追加、プチお披露目。

CABANE de ZUCCa の腕時計
「BOOKBAND」

zucca時計1

説明するまでもなく、名前のように、ブックバンドっぽいです。
本読みとして、これは嬉しい♪

箱を開けると、メモ帳にブックバンドのようにくるまって入っていました。

zucca時計2

今まで使っていた腕時計が、厚くてかなり重かったので、それに比べ軽いし、カラフルなのを探してたので、まさにぴったり。
うーん、いい物を見つけた♪(経済的に後先考えてないけど。テヘ)


と、良し!更新宣言、三日坊主はマヌガレタ(笑)。
『加山又造展』
六本木へ。
国立新美術館へ行く。
最近はなかなかこれだっていう美術展を見つけられず、ちょっとペースが落ちていたが、観ようと思っていた『加山又造展』へ。

展覧会『加山又造2009』

加山又造(かやままたぞう)[1927-2004]は、日本画家。
山本丘人に師事し、横山操を兄のように慕っていた。
日本画の美を追求しつつも、西洋の影響も受け、若い頃から創画会などに非常に独創的で斬新な絵を発表していた。
裸婦や琳派を受け継ぐとも言われる装飾的な絵が有名。
加山自身は画家としてだけでなく、版画、陶器の絵付け、着物の絵付け、はたまたBMWの車をアート・カーにするなど、多方面で活躍した。


さて、混んでいるかと思いきや、そこそこ人は多かったが、割とゆっくりと観られる具合いだった。
ジャンルごとに、時系列で並んでいて、鑑賞し易い。

動物、平面装飾的な風景、裸婦、水墨、…etc色々あったが、僕は最初期の動物画に今日は惹かれた。
押さえた色遣いの画面に、非常に独特のデフォルメで描かれている動物。オリジナリティもそうなんだけれど、何なんだろう、ほんとに不思議な印象と強さを感じた。
何と言うか、こう見えているのか……という驚き。月とかね、不思議で仕様がなかった。

もう1つは、牡丹かな。あの生命力が宿った感じ。見入ってしまった。
で、小振りな牡丹の絵が数点あったあと、大作でかなり大きい牡丹の絵があったんだけれど、これが…全然違う。誤解を恐れずに言えば、グロテスク。花に人格が宿っているというか、生命器官の象徴があるというか、そういったドロドロしたものを正面から突きつけられている感じで、それはそれで迫力があったけど、小振りの牡丹の美しい生命力とは全然違ったものだった。ある意味、この差異に驚く。

風景画なんかも、加山さん、そこまで物悲しくしなくても…、という切なさと孤独感。
裸婦は、今までに何度かじっくり見ていたので、今回は他に興味が行ってしまったが、やはり良いです。線とかすごい繊細だし、美しい。

と、幅広く鑑賞できて、満足の展覧会。オススメです。
なんにしても、1人の人間の中に、こういった引き出しがあるのがすごい。
そして、加山又造ってかなり小柄な人なんですよ。なのに、あのスケール感!そのエネルギーに敬服。
いつも作品制作で、もっと自由に、と思っているが、改めてそれを後押ししてもらえるような、ヒントを得る事が出来た。

どういう風に四季を感じ、どういう風に対象を見つめるか。
徹底的に追及した平面の中に、多くの宇宙が息づいていた。



[メモ]
加山又造展
国立新美術館 (六本木)
3月2日まで
どうせ煮るなら美味しく、具もたっぷりに。
色々と行動を起こしては見たものの、見事に全てに撃沈。絶望に打ちひしがれて始まった2月。
ああ。人生は続く。

沸点に到達したがっている脳内に渦巻く事柄を、もっとよく自分自身でも把握する為にも、今月からはなるだけ毎日blogを書きたい(といいつつ、既に3日目)。
煮えろ煮えろ!

色々と上手く行かない日々ではあるけれど、それでも自己改革をしっかりしたい今年なので、まずは日々の暮らしから。
もっと生を輝かせたいのだ。

色彩による絵画の深みをより追求する事。
ちょっと面白味があるかも、と表面にトリッキーな事をしても、それは入り口を閉ざしていただけなのだと、N先生とグラフィカの方によって気づかされた。
なるほど。じっくり取り組みたい。

それから、4月に日本絵画の鑑賞講座のオファーが。
しっかり準備して、良い講座にしようと思うのでよろしくお願いします。
詳細が決まったら、またアナウンスしようと思います。