六本木へ。
国立新美術館へ行く。
最近はなかなかこれだっていう美術展を見つけられず、ちょっとペースが落ちていたが、観ようと思っていた『加山又造展』へ。
加山又造(かやままたぞう)[1927-2004]は、日本画家。
山本丘人に師事し、
横山操を兄のように慕っていた。
日本画の美を追求しつつも、西洋の影響も受け、若い頃から創画会などに非常に独創的で斬新な絵を発表していた。
裸婦や琳派を受け継ぐとも言われる装飾的な絵が有名。
加山自身は画家としてだけでなく、版画、陶器の絵付け、着物の絵付け、はたまたBMWの車をアート・カーにするなど、多方面で活躍した。
さて、混んでいるかと思いきや、そこそこ人は多かったが、割とゆっくりと観られる具合いだった。
ジャンルごとに、時系列で並んでいて、鑑賞し易い。
動物、平面装飾的な風景、裸婦、水墨、…etc色々あったが、僕は最初期の動物画に今日は惹かれた。
押さえた色遣いの画面に、非常に独特のデフォルメで描かれている動物。オリジナリティもそうなんだけれど、何なんだろう、ほんとに不思議な印象と強さを感じた。
何と言うか、こう見えているのか……という驚き。月とかね、不思議で仕様がなかった。
もう1つは、牡丹かな。あの生命力が宿った感じ。見入ってしまった。
で、小振りな牡丹の絵が数点あったあと、大作でかなり大きい牡丹の絵があったんだけれど、これが…全然違う。誤解を恐れずに言えば、グロテスク。花に人格が宿っているというか、生命器官の象徴があるというか、そういったドロドロしたものを正面から突きつけられている感じで、それはそれで迫力があったけど、小振りの牡丹の美しい生命力とは全然違ったものだった。ある意味、この差異に驚く。
風景画なんかも、加山さん、そこまで物悲しくしなくても…、という切なさと孤独感。
裸婦は、今までに何度かじっくり見ていたので、今回は他に興味が行ってしまったが、やはり良いです。線とかすごい繊細だし、美しい。
と、幅広く鑑賞できて、満足の展覧会。オススメです。
なんにしても、1人の人間の中に、こういった引き出しがあるのがすごい。
そして、加山又造ってかなり小柄な人なんですよ。なのに、あのスケール感!そのエネルギーに敬服。
いつも作品制作で、もっと自由に、と思っているが、改めてそれを後押ししてもらえるような、ヒントを得る事が出来た。
どういう風に四季を感じ、どういう風に対象を見つめるか。
徹底的に追及した平面の中に、多くの宇宙が息づいていた。
[メモ]
加山又造展
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国立新美術館 (六本木)
3月2日まで