アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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『天野喜孝作品展』
今日はまず、日本画木曜会。
秋の公民館文化祭のことを色々と話していて、これが遅々として進まず、ぷるぷる。
が、なんとか決着がついたようで、いつも通りそれぞれの制作。
文化祭の展示に良い作品が並ぶ為にも、是非頑張って頂きたい。
いつも生徒さんが飴とかをくれるのだけれど、今日は昆布飴。毎回密かにこれが楽しみ。本当に昆布の味だった。

終了後、とある展示を観ようと思い、本当に久々の原宿へ向かう。
初めての表参道ヒルズ。
表参道ヒルズ1

観光客のように、パシャリ。
表参道ヒルズ2
入り口がどこかわからなかった(笑)。

さて、ここに来た理由は、天野喜孝の個展を観るため。

天野喜孝(あまのよしたか)[1952-]は、ご存知の人も多いだろうと思われる画家、イラストレーター。ゲーム「ファイナル・ファンタジー」のイメージイラストを描いているあの人です。
個人的な感覚というか印象だと、普段僕が観て回っていたりする画家とかとは、なんというか活動のフィールドというか世界が違う。ラッセンやヒロ・ヤマガタあたりと同じ括りという印象なのではないだろうか。
でもね、天野喜孝は昔から好きなんですよ。

展覧会『天野喜孝 Amano Galaxy』

作品数に対して入館料が1000円と高く、さすがおしゃれスポットと思いながらも入場。
氏がタツノコ・プロダクションに所属していたという経歴もあり、今回の展示のほぼ全てはラメのメタリックなパネルに描かれたキャラクターもの。
ただし、唯一の展示室である広めの会場中央にある円形に壁で区切られた空間。ここは凄まじかった。

入ると、360°ぐるりと作品に囲まれる。
3×16メートルの作品が2点!
タイトルはたしか《NewYork Night》。

圧倒的なスケール感。

僕が見たかった、天野さんらしい夢幻的で色彩に溢れた作品。
真っ黒の背景の上に、何人もの人物とともに、様々なモチーフが浮遊している。
横へ横へとどこまでも流れる構図。

本当に幻想的だった。
大小多くのモチーフが入り組み、状況や何が描かれているかは容易に把握できない。
でも、これは見て理解する絵ではないと思った。
ただただ、色彩の洪水に、酔い、惹き込まれる。

その大きさもあるし、すごいエネルギー。
この人の想像力の爆発。遊び心とセンス。ほんとすごいなぁ。
間違いなく良い作品だった。

この作品を見られただけでも、行った甲斐があったというもの。
僕はエネルギー注入されたよっ!

展覧会HPにある画像とかと全然内容が違う点は注意(これはどう考えてもおかしいと思う)。



[メモ]
表参道ヒルズ B3 スペースオー (表参道)
8月31日まで
まずは準備
ふと気づくと、また間が空いていた。

こないだの土曜日は、売り場の改装につき22:00 〜6:00というスケジュールでアルバイトがあり、ちょっとそれどころじゃないという気持ちでいっぱいながらも、なんとかこなす。
帰宅して8:30くらいから爆睡していると、10時頃にチャイムの連打で目を覚ます。恐る恐る出てみると、注文していたパネルが届いた。メールに記載されていた到着日より1日早いので不意打ちの目覚め。しかし、さっさと受け取れたことは良かった。
次の大作や中品などになるパネルたち。

昨日から下地の処理を始めるも、今日の日中は非常に体調が優れない。謎のだるさと頭痛。
それでもようやく復活してきて、さっき寒冷紗を張り終わった(また寒冷紗に目覚めそうです)。

制作する側じゃないとなかなか分からないだろうけれど、絵は本当に準備が大変。なかなか描きだせないのです。
そもそも、届いたパネルの梱包を解くのがすでに大仕事(笑)。

ところで、そろそろ気づき始めたのだけれど、本気で作品の置き場所がなくなってきました。
かなり、積み上げられている状況。
アトリエのパネルたち
実際は、見えているパネルと壁の間にも沢山あります…。
ぽこぽこと作品が売れないとなぁ〜ゲフンゴフン。
1番難しいこと
昨日は大作を立てかけて、詰めの作業。
色は良い色が出ているので、雰囲気を壊さないように加筆。
こうして最新の作品を昔の作品と比べると、絵具がだいぶ乗るようになったんだなぁ。

今日、改めて見てみて、完成とした!
1つハードルクリア!
この決断が、1番難しいことの1つ。
しかし、この作品、自分でも納得の出来です。
この色の組み合わせは、今まで無かったかな。常に考え続けている強度というものが、少なからず出たと思います。


日中は、近所にあるパッとしない構えの古本屋へ。
なぜか、ふるーい美術手帖が沢山ある店。前にここで、ゴーギャン特集のもの(1987年5月号)を買ったことがある。
経年の古めかしさと、表紙にこびりついている古い古い絵具が何とも言えない。
今日は折角来たので、ホドラー特集の号(1975年4月号)を買ってみた。
美術手帖 1975年4月号

美術手帖は、今でこそカタログのようなどうしようもない感じになってしまい、毎月ぱらぱらと斜め読みで、立ち読みで済ませてしまうが、この頃は非常に評価されていた雑誌だったらしいです。黄金期。
開いてみると、テキストが多い印象かな。
『鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人』
久々の美術館の展示へ。

まずは渋谷で砂と待ち合わせ。画材屋で少々お買い物。書店にもより、電車を乗り継ぎ初台へ。

東京オペラシティアートギャラリーにて行われている『鴻池朋子展 インタートラベラー 神話と遊ぶ人』。
展覧会『鴻池朋子展』

展示室に入る前に、ベンチには撮影できる作品が。
展覧会『鴻池朋子展』 作品とオレ

非常に空いていて、快適に観る。
肝心の内容だが、期待していたのより遥かに良く、素晴らしかった!

鴻池朋子[1960-]は、芸大の日本画専攻を出たアーティスト。なので作品も日本画の素材を使ったものが多い。僕は記憶している限りでは、初めて作品を見たと思う。

展示は道しるべがあり、地底探検のような構成になっている。展示室を進む毎に、地底(?)の様々な空間を訪れる、という趣のもので、展示室の移動も低い幕をくぐって行ったりと、体感型のものだった。

てっきり絵画がメインなのだろうと思っていたのだけれど、空間を巧みに使った構成で、巨大な襖絵やデッサン、立体やインスタレーションなど、本当にバリエーションに富む。

見せ方がうまいんだなぁ。テーマパークに来たような、そんな楽しさがある。
そして楽しいだけではなく、作品も良い。
絵画で言えば、ドクロを中心にした三幅対のような構成の巨大な襖絵。墨や砂子(すなご=金箔を細かく画面に散らす技法)を用いて描かれている。両サイドは、半人半蝶の不思議な生物や半人半狼が描かれている。
小さなデッサンも含め、すごく作品に意味があるように見えるのだけれど、一体なんなのか分からない。でも、どういうことなのだろうと考えさせられてしまう魅力。
理解ではなく感覚の世界に遊ぶ。

他の絵画作品もだけれど、展覧会のタイトルにある「神話」っていうのが、こういった作品に見られるモチーフで、それは作家の内面に存在している私的な神話なのだろうと思った。
ただし、その神話世界が外部のものを突っぱねるのではなく、語りかけてくる。だからこそ、会場を歩いていて、非常に楽しめるのではないだろうか。

まさに我々は、謎の地底世界の内部を、そして作家の内面に潜む神話を、インタートラベラーとして旅する。

展示室に入った瞬間、僕も砂も「すごいっ!」と叫んだ部屋があった。
暗くて、ミラーボールのようなプラネタリウムのような光が、無数に壁一面に写され動いている。頭上には、何かが飛んでいる。足場は一段高くなっていて、見下ろすと部屋の中心には謎の頭部。
しばらく空間に見入っていると、突然、部屋自体がゆっくりと回転し始めた!
いや、違うのである。無数の光の動きに合わせ、中心の頭部が絶妙な速度で回転し始めたので、完全に錯覚に陥り、部屋が回転しているのだと思ってしまったのだ。
本当にすごいスケール感。この部屋を、他に観客が全くいない状態で観る事が出来たのはラッキーだったなぁ。

他にも、色々と作品があった。

なんていうか、深みがあるかと聞かれると、そういったものはあまり僕には感じられなかったけれど、でも、イマジネーションとはこうも自由なものなのか、という驚きと、展示構成の徹底っぷりのすごさ。展覧会の新たな形を見た気がする。
この展示を観た後では、新たなスイッチが自分の中でONになるというか。
現代美術とかインスタレーションとか、そういった作品の重要な力の1つは、まさにそこにある気がする。
新たな世界を提示して、鑑賞者の中にも生むこと。世界への眼差しに、新たな視野を得ること。

行って良かったと思う展覧会でした。



そのまま、収蔵品展へ。こちらも良い。
物故、現存、日本画、現代美術、様々な作品たち。
そして、質が高いし、なかなか他の美術館では収蔵していないような作家の作品も見ることが出来る。
画壇の巨匠から話題の現代美術まであるこの収蔵品展は、見るたびに感心する。
オペラシティ偉いな!と。なんかね、こういう姿勢はすごく大事ですよ。作品の受け皿である美術館として、本当に良い。


その後の、廊下部分を使って行われる Project N 。これは知る人ぞ知る有名な展示なのです。素通りすると勿体ない。
若手作家を個展形式で紹介するもので、なかなか長い期間展示させてもらえるのです。
現在は『山下美幸展』。1979年生まれの作家さんの展示。いつかの「今月の隠し球(『美術の窓』の連載)」で取り上げられていた方。その記事の写真で、非常に気になっていた人なので、こうして実作を観る事ができ良かった。



[メモ]
9月27日まで
知性と想像力の夜
昨日はアルバイトの後、銀座へ行き、AUX BACCHANALES でN先生と先生の秘密結社の方々と待ち合わせ。
先生に会うのは年末以来。
秘密結社の方々も、実に前回の個展ぶりである。

皆さんは17時から集まっていたが、僕は18時少し前に到着し、すぐに飲み屋へ移動。
お酒と語らいが始まる。

知性にあふれた素晴らしい夜。
絵画も文学も音楽も、ジャンルを自在に行き来する夜。
ああ、僕は勉強不足を痛感したよ。まだまだ世界は奥深いのだなぁ。
一応、スペシャルゲストということで参加したのだけれど、スペシャルなことは何もできず…。

刺激に溢れた場に参加することができ、僕の精神は深いところでぐつぐつという音を立て始めたのです。

薔薇の騎士会 20090815
当日のメンバー。左から有坂さん、僕、中村先生、内田さん、並木さん。

この方々は、僕の作品のことについて話してくれる時も、その言葉は音楽のように心地よい。イマジネーションとインテリジェンスが豊かな人たち。
交流を持てて、いつも僕は幸せに思っています。
もう少しで完成か
お盆の初日ということもあって、本当に今日あるのか若干の不安を憶えながらも、浦和の公民館へ。日本画木曜会。
皆さんしっかりと来て良かった良かった。
秋に公民館の文化祭があるらしく、その出展の話とかをしていた。

僕は筆を奪って手を加えたりとか、そういうことは極力しない。
なので、特に何かを教える、というのは少ないのだけれど、それでも質問は多く、その度に長らくやっていない技法とか、普段やらないような塗り方とか、喋ったり実践したりするので、包括的に「日本画」ということを考えるきっかけになっている。うん、たまに緊張します(笑)。

帰り道は、生徒さんの車で武蔵浦和まで送ってもらった。
来る時は曇っていたのに、嘘のように晴れ渡り、猛烈な暑さとなっていた。

午後は、部屋にいるだけで暑い。窓を開けても風がない。
暑がりじゃない僕でも暑かった。
しばらくぐったりとするが、その後制作。
ついに大作が完成間近となる。あとは詰めだ!

夜は、この数日スーパーにしか出かけていないことに悲しくなり、突然、数駅隣りの安倍君と連絡をとり、アルコホリック。
安倍君が、人間の幸福とかについて語りだした夜だった。
ドキドキ野菜スープ
以前、温野菜ブーム到来とお伝えしましたが、僕の中でとっくに鎮火してました。
が、最近新たなるブームが!
The 野菜スープです。
タマネギとかにんじんとかブロッコリーとかチンゲンサイを茹でて、コンソメを入れる、という誰も知らない秘密の手法を憶えた僕は、取り憑かれたかのように、最近は毎晩作っては食べています。

さて、どうもダメです。脱力感で、ここ数日ダラダラとしております。
行きたい展覧会も見つかったのだけれど、台風やらなんやら、そして迫りくる個展やらで、なかなか旅立てず。
これではいかんと、自己改革を決意しました(何度目だろう…)。

とりあえず、今取り組んでいる大作に対して、自分の中で期日を設け、完成させてしまいたい。
そしたら、次の大作とかも余裕をもって制作できそう。
今回はゆったりと展示するつもり。展示配置の効果も考えながら(もちろんいつも考えているけれど、いつも以上に)、より引き立つ見せ方にできればと。

運送会社の手配もしたし、後はDMか。
いよいよ、個展っぽい作業も増えてきましたね。
『新世代への視点』など
砂川君と銀座で待ち合わせ、月例会合(?)。
ちょうど時期なので、「新世代への視点」を見て回る。銀座界隈のギャラリーが、それぞれのオススメ若手作家を紹介するイベントで、各画廊が会場となっている。今年は、去年の10画廊から12画廊に増えた。
ちなみに、去年僕は小品展の方に参加させてもらいました。あれですよ、あれ。

まずは、コバヤシ画廊へ行き、大学時代に副手だった市川さんの個展を観る。
市川さんもいて、久々にお会いできた。
去年の夏、新世代への視点のパーティーの頃から、ず〜っと飲みに行こうと言っているのに、未だに達成されていない。
それはそれとして、作品は相変わらず超巨大!
元は平面なのだが、アクリル板に描いてあり、それが折り曲げられて自立する巨大なオブジェとなっている。
数百キロはあるらしい…。
荒れ狂う波濤にも、深遠な空間にも見えて、良い作品でした。
がんばってるんだなぁ〜、と、教え子は感心致しました。

その後、ギャラリーQ

それから、新世代への視点ではないけれど、折角なので新富町のARATANIURANOへ。
絵画なのだけれど、金筆という初耳の素材で描かれているらしい。
いつものように、スタッフの方に超絶に素晴らしい接客を受け、色々と解説を聞く。
作家さんは、何とほとんどの作品をファミレスの窓際の席で制作したらしい!!

銀座へ戻りながら TKG Editions に寄ってみる。
ちょっと書籍を購入。
ドトールで休憩してから、ギャラリイKギャラリー山口なびす画廊ギャラリーなつかガレリア・グラフィカを観て、ギャラリー巡りは終了。

池袋へ。
ヤマダ電機で、砂のMacを新調。
居酒屋で、本日の反省会。
今のアート界の様子やら、自分たちのことやら、マイケルのことやら、色々と話す。
結局は、やるしかないんだ。
◇8月の掲示板のふり◇
作品 200908

ちょっと最近更新をさぼり気味でした。夏バテ放置というかなんというか。
今日から気を引き締めて、ブログ業に励もうと思います(たぶん…)。

仙台からは戻って来ています。
蝉時雨がだいぶ盛り上がってきているこのごろです。
大作をどんどん進めねばというプレッシャーを感じているこのごろでもあります。

展覧会も若干ですが、行ってみようかというのがあるので、その辺もレポートできればと。



[画像]
《(タイトル考え中)》
2009/05/24
岩絵具、板
38.0×45.5cm
※画像の無断転載・転用は禁止です

この作品は実験的に挑戦してみたもの。今はこの方向ではなく、先月の掲示板のような方向で、制作してます。