アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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『ルノワール』展
 木曜日は、他にも行っていて、銀座の後は六本木で国立新美術館へ行った。

展覧会『ルノワール』
 始まって間もないルノワールの展覧会。

 これから、いよいよ今年の展覧会巡りも色々と行きたいのが出てくるので、どんどん消化せねばならない。まずは、これ。

 ピエール=オーギュスト・ルノワール(Pierre-Auguste Renoir)[1841-1919]は、フランスの画家。大変な知名度なので、皆さんご存知でしょう。
 印象派の画家であるが、途中から印象主義から離れ、古典主義へと向かう。ルノワールと聞けば思い浮かぶ程、《ムーラン・ド・ラ・ギャレット》や一連の裸婦像は有名だし、作品と名前が浸透していると言えるだろう。
 晩年はリューマチを煩い、体の自由が利かなくなった。しかし、固まってしまった手に筆を縛り付け、それでも制作にあたったのだ。その映像を持っているが、結構衝撃だった。
 ちなみに、次男は映画監督のジャン・ルノワール。この人については、以前の『ルノワール+ルノワール』展の記事で書いてます。

 さて、まず僕にとって、ルノワールはあまり重要じゃないし、然程興味も無い。
 が、やっぱりルノワールの作品だけで成り立っている展覧会なのだから、行かないわけにはいかないじゃないか。先入観で決めつけて、出会いを失いたくない。僕はそう思う。

 僕にとってどうかはさておき、世間的には超絶人気のルノワールなので、混んでいるかと思いきや、かなり人は少なく、ゆっくりと好きなだけ見られる状況だった。

 作品は、人物とか静物とかでジャンル分けされ、それぞれが章として展示室が独立し、見やすい構成。作品も、ルノワールだけで成り立っているとあって、贅沢な空間。

 でも、率直に言って、全然良くなかった。

 金持ち趣味に見えてしまう。
 退屈なのだ。
 ルノワールだけで美術館くらすの展覧会を成り立たせるというのには、限界を感じた。今回のルノワールは作品の振り幅も小さく、単調に続く印象。
 僕の心には響かず、グッとこない。

 そりゃあ、綺麗な作品が多い。でも、なんか表面的に喜ばれる作品って感じで、その向こう側が感じられない。なんというか、そんな真剣じゃない人とかが「まぁ〜、すばらしいわね〜」とか言い合う、そういう感じ。

 晩年のリューマチを煩っていた頃の作品も、緑内障による極端な視力低下の中描いたモネと比較するならば、断然モネの方が生命の声が聞こえると僕は思う。

 余程、ルノワールが好きならば別だけれど、おすすめはしない展覧会です。



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
4月5日まで

巡回:→国立国際美術館(大阪)
追悼 山口光子さん
 ネットニュースや新聞の記事にもなっているので、既にご存知の方も多いかと思いますが、今月の15日に、ギャラリー山口のオーナーである山口光子さんが急逝されました。

 ギャラリー山口は今月の30日で閉廊となります。
 つまり、今週の展示が、ギャラリー山口の最後の展示です。
 今日、ギャラリーへ行って、最後の展覧会を観てきました。

 このブログを、初期の頃から読んでくれている方はご存知かもしれませんが、僕の最初の個展、デビューの個展は、ギャラリー山口でした。
 当時、まだ大学の4年生だった僕。ギャラリー山口と言えば、銀座界隈の貸し画廊ではトップクラスの画廊。そんな画廊で、中村先生の紹介とは言っても、まだ大学すら出ておらず、実績のない僕の、しかも初めての個展を快く承諾して下さった時は、本当に嬉しかった。

 以来、銀座方面に出かけるときは、ほぼ100%ギャラリーに顔を出すのが、僕の1つの習慣となった。
 ギャラリー山口での個展は、計2回。
 山口さんは、非常に包み隠さずビシバシとハキハキと意見を言う方で、作品についても沢山の助言をもらった。展示作業も、作品の配置の段階から、ライティングまで、すごく意見を仰ってくれて、何も分からない僕には本当に勉強になった。

 画廊に顔を出すと、「元気ですか?」「どう?制作は順調?」と、毎回のように話しかけて頂いて。
 そんな声が聞けないと思うと、とても寂しい。

 ギャラリーに立って、壁を見回して、ここから始まったんだな、と初個展を回想しながら思うことも、もうできなくなる。
 僕の、デビューの場所は、もうすぐなくなる。

 本当にパワフルな方で、ずっと若い僕が圧倒されるような感じだったのに、それだけに、今回の訃報には驚いたし、とても残念です。

 「若いんだから、どんどんやらなきゃダメよ」と何度も活を入れられ続け、その度に、いつかすごい作品を描いて驚かせてやるぞっ!と心に誓ってきたが、それが直接は叶わなくなってしまった。
 しかし、それに値する作品を、いや、それ以上の作品を描いていけるようになろうと思う。

 この画廊でやらなければ、出会わなかった方々も沢山いるだろう。僕の現在も多少違ったものになっていたかもしれない。
 本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

 山口さん、本当にありがとうございました。
 ここに、心から哀悼の念を捧げるとともに、ご冥福をお祈り致します。

 加藤雄太

ギャラリー山口
初個展時のギャラリー山口(2006年12月)
ギャラリーを巡り、思考も巡る
 今日は、砂と新年初顔合わせ。一緒にギャラリーを巡る。
 行ったものを列挙してみよう。

 新宿で待ち合わせ、大江戸線で赤羽根橋へ。
 
展覧会『前原冬樹』2010
 YOKOI FINE ART で、前原冬樹さんの個展『いろはにほへどちりぬるを』。
 
 前々から、個展で作品を観てみたいっ!と思っていた作家さん。木彫の彫刻家。超写実的な彫刻作品で、知らない人が見ると木彫だとは思わずに本物だと思ってしまう。それぐらいのリアルさ。アートフェアでは見たことがあるのだけれど、個展でしっかりと見たかった。
 会場は照明が落としてあり、4点の作品にぼんやりとスポットが当たっている。
 一木造りとは思えない!潰れたカマキリとか、割れた陶器の破片とか、煙草の吸い殻とか…。観に行って良かったー、と思える内容だった。

 その後、付近にいくつか有名ギャラリーがあることに気づいていたので、歩いて行ってみることにした。

gallery side 2

TAKE NINAGAWA

 そして、再び地下鉄にのり清澄白河へ向かう。

清澄庭園
清澄庭園。


清澄白河 ギャラリービル
 小山登美夫ギャラリーや hiromi yoshii などなどが入るギャラリービルへ。

 今日は、小山登美夫ギャラリーの『名知聡子展』がメインの目的である。
 会場に入ると、想像していた以上に大きな作品が、ゆったりと並ぶ。迫力。
 肖像画なのだけれど、絵を観ると絵の中の人物と視線が合う。でも、うっすらとベールがかかったような表現で、焦点が上手く合わないような、そんな雰囲気、もわっと漂う空気感。
 色遣いや背景によって、何となく古い時代の肖像写真を見ているような、そんな時間の揺らぎを感じた。過去からの視線。

 順々に下の階へとおりながら、各ギャラリーを鑑賞。

 見終わると、歩いて茅場町へ向かい出す。

清澄白河から茅場町への道
途中の夕景。

展覧会『チェン・ルオビン』
 茅場町で、taguchi fine art へ。
 チェン・ルオビンという人の個展。

 すごくミニマルな表現の絵画。簡単に言えば2色の平面から成り立っている。
 黄色っぽい色面が必ずあり、それは光に形を与えたものだとのこと。
 僕の作品もミニマルだけあって、興味深く拝見した。

 ところで、このビルの森岡書店で、偶然北川健次さんの2人展も開催されていた。
展覧会『北川健次』森岡書店

 ご本人もいらっしゃった。
 写真もオブジェも、相変わらずの格好良さ!

 最後に、SANAGI FINE ARTS へ行き、このギャラリーでは初となる絵画作品の展覧会を鑑賞。
展覧会『ヘルマン・ガブラー』

 本当は、銀座も行こうとしていたのだけれど、僕も砂も疲れてしまったので、新宿へ行って、ささやかな新年の決起会、というなのアルコールを嗜む会。
 すると、途中からリンタロさんも現れ合流。しかも、相変わらずの変態ミラクルっぷりで、新たなすごい話を持ってきた。一緒に運も運んで来ていて、僕らもお裾分けに預かれたと思いたい。

 2時間制限で居酒屋を追い出されると、カフェへ行こうとしているのにどういうわけかカラオケへ。僕らにとってありえない選択。皆、リモコンの危機の使い方さえよくわかっていない。
 が、しっかりと、Michael Jackson などを熱唱というか絶叫。

 そのあと、やっとこさカフェへ行き、長々と語らった。
 語れば語る程、荊の道を確認してしまう。
 しかし、と同時に、それを引き受け、立ち向かう勇気と覚悟を得る。
 そんな語りができる仲間。
 そうさ、きっと大丈夫。
また1つ掴んで
 恐らく今度の個展で1番小さい作品になるであろう小品が、かなり良い感じになった。
 準備期間が短いとはいえ、新しい表現に挑戦しているのでハラハラしていたが、今夜一気に小品が完成一歩手前というところまで来て、この試みが正解だったと思える。あとは、細かい修正をすれば完成かな。

 悩んで悩んで考え続ける。
 苦しいときでも、何とか前進する道が見えるよう、目を凝らし続ける。
 そうすることで見えてくるものがある。
今年のギャラリー巡りぞめ
 昨日。
 2010年初のギャラリー巡りへと行ってきた。
 池袋でリンタロさんと合流して一緒に行くことに。リンタロさんは、前日の夜にニューヨークから帰ってきたばかり。新年からすごい行動力。

 日本橋高島屋で行われている『中川幸夫 ―生ける花―』へ。華道の免許も持っていて現在も花を続けているリンタロさんに見せたかったし、僕も見たかった。
展覧会『中川幸夫』

 少し前のNHKアーカイヴの美術番組特集でも出てきた中川幸夫。本当に衝撃的な内容だったので、非常に興味を持っていたのである。
 展示は、作品の写真であったので、実際に生け花を見てみたいと本当に思う。こういう「生け方」があるのかと、衝撃を受ける作品だ。

 その後は、不思議娘メリッサとも合流し、京橋、新富町、銀座、日比谷と歩いて巡る。
 以下、そのうちのいくつかを。

 ARATANIURANO では、『小西紀行「個として全」』。
 少しフランシス・ベーコンを思わせる人物画。力強く印象的な表現。リンタロさんはかなり気に入った様子。

 今年から移転した MEGUMI OGITA GALLERY で、『ニコラ・ビュフ』という人の展覧会。
 ギャラリーの壁面に直接描いた作品で、スケール感がすごい。ヒンズーやイスラムを思わせるような絵柄で、異国文化の匂いを感じた。
 なによりも、移転して以前までのスペースよりも10倍くらい広いんじゃないだろうか、というすごく立派な空間になっていた!広いし綺麗で、本当に良い空間だったなぁ。

 高橋コレクション日比谷では、『荒木経惟・舟越桂 至上ノ愛像』。
 荒木経惟も舟越桂も、説明不要な2人でしょう。僕は、お二方とも好きなので、足を運んだ。
 実は、高島屋に行った後、西村画廊での常設展で舟越さんの作品を見ていて、やっぱりいいな〜、と魅入っていたので、この日2度目ということになる。
 アラーキーの写真も、舟越桂の彫刻も、ホントに長く見ていられる作品だとつくづく思う。

 この他、多数寄った。

 ギャラリー巡りへの最初の出陣で、沢山回って満足した気分でいると、渋谷の画材屋へ行くことをすっかり忘れていることに気づく。
 慌てて地下鉄に乗って渋谷へ行って、画材を無事購入。
 
 その後は、僕の地元の駅前にできた串揚げ屋で、しんみりと新年会。
 リンタロさんにニューヨーク旅行の話などを聞いた。彼の変人っぷりは並じゃないな、と新年早々に刺激的な話を聞けた。いやぁ、2010年、いよいよ彼にとって大きな変革の年になるだろうと思う。
 作品のこれからのヴィジョンとか、熱燗を片手に語った夜。充実した時間。
 人生に対する真摯な態度。
 僕は僕で、今年、大きくステップアップしたいと思っているし、お互い羽ばたける年になれればなと思うよ。


 そして、今日は日本画木曜会の新年最初の授業の日だった。
 快晴の空。凍みる寒さ。
 
浦和の道 20100114

 日々は躍動し始めた。
お正月を振り返る
 何とか仙台で年末年始を過ごし、無事、関東に戻って来ております。
 ああ…、仙台こいしや…。

 さて、今年のお正月をザッと振り返ってみましょう。

2010年正月 仙台雪景色
 元旦の朝は雪でした。正月っぽくて僕としては嬉しかった。実家の窓より。

2010年正月 お雑煮
 仙台のお雑煮には、イクラが入ります。バイト先でこの話をしたら、すごい驚かれて、普通は入らないんだ、ということをその時初めて知りました。

 家から近い大崎八幡宮へ初詣に。僕は元旦にここで甘酒を飲まないとダメなんです。そういう病なんです。

 おみくじ引いたりしていると、なんとレオナルド・ディカプリオバタ君と遭遇。2日前に飲んでオールしたばっかりなのに、新年に最初に会った友達となりました。
2010年正月 オレと小幡君
 レオナルド・ディカプリオバタ君(右)と。

 そして、もう1つの恒例行事が、出店でハッカパイプを買うこと。
2010年正月 ハッカパイプ
 ハッカパイプを買う僕↑
 家族の誰の理解も得られません。

 3日には街へ出て、セールなどを物色。
 ランチに牛タンを食べようかと思ったけれど、すごい混んでいたので、結局マックに…。正月のマックは不思議とまずかったです。

 2010年正月 壱弐参横丁
 これは、壱弐参横丁(いろはよこちょう)。今売っている『芸術新潮』の日本遺産特集で、見事誰かに選出されていました。飲み屋に雑貨屋、おしゃれカフェに、これでもかという程の公衆便所、という恐ろしく混沌とした素敵な空間なのです。


 で、荒川近郊に戻って来てからは、渋谷の MARY JANE というJazz喫茶に行きました。
ジャズ喫茶 MARY JANE 1
 右の看板が、すごくいい感じ。

ジャズ喫茶 MARY JANE 2
 店内へ至る階段。

 すごく落ち着いた店内だし、店員さんも丁寧に接してくれてとても好印象。
 やっぱりしっかりしたスピーカーは迫力がある。ああいうのが将来欲しいなぁ。

 と、年明け以後の簡単な総括でした!
 現在はもう、すっかり制作モードです。新作も完成し、DM用としてギャラリーにデータを送った。
 今日は、F80号に寒冷紗を貼った。もう、アトリエスペースが限界に来ているので、それだけでも大仕事。

 さぁ、濃密に、充実で、2010年。
◇1月の掲示板っぽく◇
作品 201001

 新年、明けましておめでとうございます。
 新しい1年が始まりました。
 今年もどうぞ、加藤雄太と「半地下の手記」をよろしくお願いします。

 それにしても、英気を養って、今年も頑張らねば!と思う年末年始です。毎年のことですが、頑張りますっ!

 今年は、なるだけ無味乾燥な時間をなくしたい。多くの本を読みたいし、展覧会も相変わらず積極的に行きたいです。あとは、最近取り組んでいる英語ですね。どんどん上達させること。
 そして、勿論制作!質が落ちないように、でも強気で攻めて、良い作品を描いて行きたいです。発表の機会も、どんどん訪れるといいな♪
 あと、付け足しとして(苦笑)、ブログをもっと書くこと…。やっぱりこうして言葉にして文章化することって、意外に大事で、自分自身の整理にもなるし記録にもなるし。

 それでは、皆さん、よい1年にしましょう〜。


[画像]
《いずれ見る丘》
2009/09/11
岩絵具、板に寒冷紗
145.5×112.0cm
《…》
Powdered mineral pigments on cheesecloth mounted on wood
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