最近観た展覧会から、前後するけれどこれを。
上野の SCAI THE BATHHOUSE で開催中の『宮島達男 Warp Time with Warp Self』。
宮島達男[1957-]といえば、世界的に活躍するアーティストなので、知っている人も多いかと思います。国際的に評価されて活躍している数少ない日本人アーティストの1人。
数字の人、というと簡単過ぎるかもしれないけれど、数字を使った作品を沢山制作している。これらの作品は、常設展示されている場所も多いので、見たことがある人も多いはず。
宮島さんの作品は、LEDによるデジタルカウンターを使ったもの。赤や青や白に明るく数字が光る。
そして、デジタルカウンターの数字は1ずつカウントダウン、もしくはアップしていく。しかし、表示されるのは必ず「1〜9」の間であり、「0」は表示されない。その代わりに何も表示されない状態となる。
また、1つの作品に沢山のデジタルカウンターが付いているが、それぞれのカウントスピードは違い、それぞれが規則正しく他とは違うテンポで変わっていく。中には、1つ進む(戻る)のに、ものすごい時間がかかる(記憶が正しければ何年とか)デジタルカウンターもある。
作品のこれらの特徴は、東洋思想によるらしい。殊に、輪廻。
さて、ギャラリーに入ると、室内がかなり暗く調整されている。その中に、作品の数字が光っている。
僕は、これだけまとめて作品を見るのは、記憶している中では初めてだった。
そして、事前のイメージより、遥かに深く訴えかけてきた。
特にいちばん大きな作品。
作品の前に立ち、視界を埋め尽くすデジタルカウンターの数字。
あちらでチラッと数字が動き、こちらでは数字が消える。また一方では、消えていた部分に数字が現れカウントが始まる。
まるで星の瞬きのよう。
また、作品としての表現は違えど、ロスコ的な何かを感じた。
そして、静かである。
音もなく、変わる数字。
その静かな、しかし豊穣な数字の星空を前にすると、数字が無限を表しているようにも思え、宇宙的なスケールを感じた。
無限を感じるが故に有限も意識し、巨大なスケール感が自分に降り掛かってきた時に、深い対話が始まる。
いや〜、冷たい雨の中足を運んだ甲斐のあった、良い展覧会でした。
[メモ]
12月22日まで