アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
ホームページは yutakato.com 作品掲載してます。

<< October 2011 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

『モダン・アート, アメリカン』展
 先日、六本木の国立新美術館で行われている『モダン・アート, アメリカン』を観に行ってきた。

展覧会『モダン・アート, アメリカン』

 看板を見れば分かるように、エドワード・ホッパーの作品が大々的に宣伝されている。
 僕は、ホッパー作品が好きなので、それが見れるという事でも楽しみだったし、ロスコ作品が来ているということで、ロスコ大好きの僕は尚更のことこの展覧会を楽しみにしていたのであった。

 今回は、「モダン・アート, アメリカン」ということで、アメリカ美術の展覧会だけれど、「珠玉のフィリップス・コレクション」というサブタイトルがあるように、フィリップス・コレクションからの出展である。

 展覧会は、19世紀後半から始まって、最後の展示室は1950年代に一世を風靡した抽象表現主義の部屋となる。
 確かに、ヨーロッパの影響を受けた19世紀後半から、アメリカ合衆国独自の芸術を求めた表現が現れるその流れや、都市化による影響など、アメリカ美術の変遷を辿る事はできる内容ではあった。
 でも、正直退屈な展覧会だった。

 上の画像にあるオキーフの作品だとか、確かに良い作品もあるんだけれど、全体的に地味でした。

 ただ、これはアメリカ文学にも言える事だと思うのだけれど、あのどうしようもない広漠とした感じ。乾いた大地がどこまでも続く感じ。それは展示されている作品からもはっきりと確認できて、絵画も文学も関係なく、アメリカ合衆国という国が生み出す芸術に共通する感覚なのだろうと思う。そこが好きなんだよ。ホッパーもカポーティもさ。

 なので、もっと良い展覧会にしてほしかった。
 見応えがなかったので、とても残念です。



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
12月12日まで
『山本基 しろきもりへ ―現世の杜・常世の杜―』展
 さて、彫刻の森美術館の庭園は紹介したので、次は企画展の方の『山本基 しろきもりへ ―現世の杜・常世の杜―』。

展覧会『山本基』

 山本基(やまもともとい)[1966-]は、塩を使ってインスタレーション作品を制作するアーティスト。

 今回は、この展覧会のために、箱根に長期滞在し、作品をまさに出現させた。
 使われた塩は、計約7トン。

 最初の展示室は、大量の塩によって枯山水の庭園を思わせる情景が作られている。2つ目の展示室では、尖った鋭い岩山のようなオブジェが、これまた勿論塩で。最後の展示室では、床一面に、塩の線による模様が描かれている。

 展示はこの3室のみで、予想よりあまりに小規模で驚かされた。
 でも、特に最後の部屋の塩の模様図は見応えがありました。
 足場が組んであって、空中から見下ろせるようにもなっているんだけれど、海の白い波しぶきのようにも見えるし、うっそうと茂る森のようにも見える。
 いずれにしても、相当な面積を塩の線で描いてあるので、地震でも来たら消えてしまうのではないだろうか。(塩はただ床に置かれているだけなので、定着していない。そして、僕が観に行った数日前に実際地震があったけれど、とりあえず大丈夫だったそうです。)

 さて、塩を使うという表現は、作家は以前から行っているけれども、今回のタイミングでこういった展覧会を観ると、どうしても3月11日の地震を思う。
 津波となって荒れ狂う海。押し寄せた海水という塩水。
 それが、今回こうして芸術作品の素材として使われている。

 実際、今回の3つの展示室は、順に地上、上昇への憧れ、天界、のようなイメージになっているらしい。

 そして、この展示は来年の3月11日まで続く。
 最終日である2012年3月11日には、作品となっていた塩たちを来場者が持ち帰り、それぞれが海に還す、というプロジェクトがあり、それをもって展示の終了となる。

 生命は、海から来た。海と生き物は、勿論人間も、生きていく上でその関係は切り離せない。美しいと眺める海もあり、食や恵みをもたらすという面もあり、でも凶暴な牙を持って荒れ狂うという面も持っている。
 それを素材として、別世界や壮大なスケール感を見せるアート作品へと昇華し、様々な思いを抱かせ、時間がくれば全ての形を消し去り生まれでた海へと還す。

 展示の量は少なかったけれど、観て良かったと思う展覧会でした。
 それに、企画展のボリュームが少なくても、1つ前の記事で紹介したように、常設が沢山あるからね。興味がある方は足を運ばれてはどうでしょうか。



[メモ]
箱根 彫刻の森美術館 (神奈川県足柄下郡箱根町)
2012年3月11日まで
箱根 彫刻の森美術館と『山本基 しろきもりへ』展
 Blogを沈黙していた間、ぽつぽつとアートフェアや展覧会へ行っていたんだけれど、勿論もうそのほとんどが終了している。
 そんな中、この展覧会はまだ開催中なので、復帰戦にこれから書いてみよう。

 場所は、箱根 彫刻の森美術館。
 9月1日の迫り来る台風の中、レンタカーを借りて遥々箱根へ行ってきた。
 あ、ちなみに利用したのは、格安中古車レンタカーの「ニコニコレンタカー」。12時間2525円です!相当昔のおんぼろマーチだったけど、安いからオッケー。既にボコボコでこすってあるし、緊張しないで済んだしね(笑)。

箱根彫刻の森美術館 01
 到着。初めての訪問です。
 箱根の山をくねくねくねくねとかなり登ったとこにあって、それはそれは山の上の美術館でした。

箱根彫刻の森美術館 02
 お庭。
 ロダンの有名なバルザック像がお出迎え(右のやつ)。これは、リアリティを追求してロダンが作ったんだけど、多くの資料などからバルザックの姿に迫り、その結果、バルザック本来のリアルさ、即ち、お腹とかぶよぶよだったバルザックを再現した彫刻となって大顰蹙(ひんしゅく)を買い、ロダンは仕方なく長めのコートのような服装にして醜い体のフォルムを隠した。それでもサロンでは酷評で、確か依頼した文芸家協会かなんかは怒って受け取りを拒否したんだったと思う。

 そんな話はさておき。今日はプチ旅行で気分転換。

箱根彫刻の森美術館 03
 相当な山の上、森の中、なことが伝わるでしょうか。

 美術館の名前は有名だけれど、やっぱり都心とかの美術館行っちゃうし、実際に足を運んだ事がある人は少ないんではないだろうか?

箱根彫刻の森美術館 04
 広大な敷地には、沢山の立体が展示されています。散策路のように、ずーっと続いている。

箱根彫刻の森美術館 05
 これは、確か佐藤忠良の作品。

箱根彫刻の森美術館 06
 不思議な立体作品。

箱根彫刻の森美術館 07
 近づくとこんな感じ。

箱根彫刻の森美術館 08
 こんな人たちもいたり。

 とまぁ、色んな作品が点在していた。
 途中、ザザーッとシャワーのような雨が降ったりしたけれど、天気は概ねもってくれた。

箱根彫刻の森美術館 09
 ネットの森。
 名前の通り、内部はネットを張り巡らせた遊具のような空間になっていて遊ぶ事が出来ます。

 あ、そうそう。あと、この美術館の感動したところとして、散策路の端っこや陰の方にあるトイレとかまでピカピカ綺麗で手入れが行き届いていたことを挙げたい。素晴らしい管理体制だと思った。そういうところも気持ちよかったです。

 さて、美術館本館から一番遠い辺りまで散策路を進むと‥‥

箱根彫刻の森美術館 10
 ピカソ館があります。
 ピカソ作品オンリーの建物。
 グミみたいな見た目の素材“ジュマイユ”(一応ガラス?)で作ったステンドグラスみたいな絵画があって、そんなの作ってたなんて知らなかったから、とても新鮮に観た。あまりにも斬新で現代的なので、最初観たときは現代の技術で作った複製のインテリアかなにかと思ったくらいです。

箱根彫刻の森美術館 11
 山の中だ‥‥。

箱根彫刻の森美術館 12
 ピサの斜塔のような建造物。実際に中の螺旋階段を登る事が出来る。
 僕も登ってみたけれど、雨で足下が濡れていて、階段はかなり急だったので、結構な危険を感じ途中で降りました。

 お土産とか売っている建物の横には‥‥

箱根彫刻の森美術館 13
 まさかの足湯!
 天気が天気なので誰も浸かってなかったけれど、僕はモチロン(笑)。ピサの斜塔を眺めながらまったりと。

 そして、この辺りから漸く復路になる。広いでしょ!?

箱根彫刻の森美術館 14
 この色遣い。このフォルム。分かる人には分かる、ニキ・ド・サンファールですね。

 ニキ・ド・サンファールの彫刻の側には‥‥

箱根彫刻の森美術館 15
 これは笑った。

箱根彫刻の森美術館 16
 もうすぐスタート地点。

箱根彫刻の森美術館 17
 見えますか?上空の彫刻。
 遥か空へ…。

箱根彫刻の森美術館 18
 そして、撃墜(笑)。
 いやだって、位置関係的にそうとしか見えない。

 とまぁ、盛りだくさんな彫刻の森美術館の庭園の画像を載せていたら、肝心の企画展に触れるにはあまりに長くなり過ぎたので(苦笑)、それはまた別エントリーとしてアップします。



[メモ]
箱根 彫刻の森美術館 (神奈川県足柄下郡箱根町)
年中無休 9:00〜17:00
復活
 皆さん。お久しぶりです。
 ブログ書く書くと言いながら、なかなか書けない、いや、書かない最近でした。

 そして、突然思ったんですね。「そうだ。ブログを書こう」、と。

 今までTwitterとかにかまけてかまってあげなくてごめんね、ブログくん。
 これからは、もっとちゃんと書くよ。

 ということで、心機一転、blogリハビリしながら徐々に復活でーす。
 よろしくお願いします。