アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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『フランシス・ベーコン展』
 最近行った展覧会のうちから1つ。

 記事にしていないだけで、相変わらず割と多くの展覧会に行っています。
 そんな中、まだ会期が終了していない展覧会を。

 東京国立近代美術館で開催中の『フランシス・ベーコン展』。

展覧会 『フランシス・ベーコン』

 言わずと知れた20世紀の巨匠の1人。
 個人的には、とても興味のあるアーティストの1人、それがこのフランシス・ベーコン(Francis Bacon)である。

 日本でそんなに認知度が高くないことと、印象派や写実絵画のように誰が観ても「まぁキレイ」ってタイプの絵ではないので興行的に成功するのかという問題も有ってか、国内での大規模な展覧会は久しぶりである。

 展覧会自体は観易かったし、迫力がある大作もたくさん来ていて、とても良いものだと思う。

 ベーコンの作品については、「暴力的」という言葉がキーワードとされているが、恐らく多くの人が誤解しているように、これはベーコンの絵が暴力的という意味ではない。
 これは名詞ではなく副詞(「暴力的な」)である。人を現実に向き合わせたりという絵画の超越的な力、という意味なのだ。

 会場内で、ベーコンのドキュメンタリー映像(恐らく海外の番組かな)が、数分だけどループで流れていて、そこでもベーコン自身がこう言っていた。
 「暴力性が溢れているのは現実世界であって、画家の作品の中ではない」

 さて、ベーコンの作品は良くわからない。実際、僕も初めてまとまった数のベーコンの作品を観たけれど、よくわからない。
 しかし、個人的にベーコンの作品の魅力は何かというと、この「分からない」ということだと思う。

 本当に良い作品は、鑑賞者が一瞥をくれただけで、1から10まで何もかもが合点がいき、良く理解できてスッキリ気持ちいい、そんなものではないと思っている。
 本当に良い作品というのは、そう簡単には全貌を理解させない。
 格好良く言えば「未だ名付け得ぬもの」。簡単に言えば「得体の知れない何か」。そんなものが潜んでいるのであって、それが大事なのである。

 実は、今回のフランシス・ベーコン展、2回ほど行きました。
 僕がリピートする展覧会って結構レア。興味が有ったってことです。



[メモ]
東京国立近代美術館 (千代田区)
5月26日まで
巡回:→豊田市美術館