アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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グループ展開催中です
Small Works 2013

 ところで、先週に引き続き、今週いっぱい僕の参加しているグループ展が開催中です。

 ギャラリーのオーナー曰く「結構評判が良い」とのこと。

 『Small Works 2013』(企画:ガレリア・グラフィカ)
 場所:ガレリア・グラフィカbis
 会期:〜9月21日(土)まで

 会場の2階のガレリア・グラフィカでは、常設展として有名アーティストの作品も見られますので、併せてご覧頂ければと思います。
 なお、最終日は16:00までの展示なのでお気をつけ下さい。

 今までの作品と比べると結構変化した、色んな意味での挑戦作です。

 (画像は初日オープニングの様子)


『アンドレアス・グルスキー展』
 結構気になっていて、先日ようやく行ってきた展覧会。

 国立新美術館での『アンドレアス・グルスキー展』。

展覧会『アンドレアス・グルスキー』

 僕は知らない作家だったので、どんな作品か知らなかった。でも、展覧会情報誌などに掲載されている、小さな画像を見て、「これは見なければならない」と瞬間的に思わされたのだ。

 アンドレアス・グルスキー(Andreas Gursky)[1955-]は、ドイツの写真家。旧東ドイツで生まれ、西ドイツで育った。
 写真作品としてオークション最高額(2011年11月のクリスティーズにて、430万ドル)を記録したアーティストでもある。

 とまぁ、そんな知識も事前情報もないまま、兎に角観に行って、僕は非常に感動したね。
 作品はどれも巨大にプリントされて展示してあった。
 そのどれもが、確かに写真なのだけれど、見ているとどうしても違和感を感じる。それがとても面白い。

 つまりは、デジタルで加工してあるわけだけれど、当然修正箇所を目で確認などできないわけで、一見それは何の変哲もない写真なわけです。

 ここでちょっと重要な話。
 写真とは「写真」と書く。これは「真実を写す」という意味だと思いがちだ(実際僕も以前は当然そうだと思っていた)。しかし、それは間違いです。
 「写真」は中国語で肖像画のこと。決して、真実を写す、という意味ではないのだ。
 元々、写真の歴史を辿れば、肖像画について言及せざるを得ない。この辺のことは、以前「写真について[第1回]」の記事で書いたので目を通して下さい。
 大切なのは、写真にはきっと“真実がそのまま写っているのだろう”という暗黙のしかし確固とした共通認識がある、ということである。なぜなら、この暗黙のルールが共有されてなければ、人間の社会生活に大きな支障をきたすから。身分証も、はたまたアリバイや証拠写真も、なにも効力を持たなくなってしまう。だから、写真は“真実を写しているのだろう”ということで皆が納得していないと困るのだ。
 因みに、写真は英語では photogragh であるが、photo は「光」、gragh は「刻み込まれたもの」、つまり「刻印された光」という意味である。これは、フィルムに関してはその通りであろうが、現在は周知のようにデジカメの時代で、デジカメにおいては刻み込まれているのは光ではなく、0と1という記号であろう。

 さて、グルスキーの作品は、写真作品なわけだが、明らかな違和感を感じる。それは、刻み込まれた光を見ているのではなく、コントロールされた0と1を見ているからだろう。
 これがとても面白く、刺激的だった。
 一見なんの変哲もない。しかし、本能的に違和感を感じる。この体験が面白い。
 また、多くの作品は反復性が強い。それが数メートルの巨大なプリントということによってより効果的になっている気がして、これは実作の前に立たなければ分からない質感であり、今回体験できて本当に良かったと思えることである。

 単純にセンス良いし、写真の意味について考えさせられるし、良い展覧会でした。
 1枚1枚の写真も、深いメッセージを持っているように思え、鋭い表現。
 16日までだし、台風も来ているけど、必見だと思います。



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
9月16日まで


色んなことが多様に結びついて降りてくるような
 先日、今度のグループ展に出す作品を、ギャラリーに預けてきた。

 前回個展以降、今後の作品の方向性、新しさ、強度、平面としてどうやってコンテンポラリーアートとして成立させるか、など、とってもとっっっても長い期間もんもん悶々モンモンと考え……、やっと今回初めて手応えのある作品として形になったよ…!!

 今までの僕の「マジメ」な作品からは考えられない「遊び」の要素や、ガッツリと洞窟壁画という要素に踏み込んだので、正直これが良いモノなのか不安だったけど、ギャラリーのスタッフさんに作品の梱包開けた瞬間喜んでもらえて、僕はとっても嬉しかったというか安心したというか、ホッとしたのだ。

 これで良いんだと思えたよ。

 これで、長年勉強してきたことや、考えてきたこと、温めてきたことが、結実してどんどん形になって生まれてくるでしょう。
 流石に技術もついてきたので、やりたかったことが表現できるようにもなってきた。
 色んなことが多様に結びついて降りてくるような。そんな感覚。好きなように組み合わせて、引き出せる感じ。

 ついこないだ30代に突入しましたが、30代は大きく飛躍して羽ばたきたいです。
 頑張ります。