アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
ホームページは yutakato.com 作品掲載してます。

<< February 2015 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

『塩保朋子 Cosmic Perspective』
 先日、上野へ行って少々展示を観てきたのだけれど、それが良かったので忘れないうちに。

展覧会 『塩保朋子』

 スカイ・ザ・バスハウスで塩保朋子さんの個展。これは、プレスの画像見て興味を持ったので観に行った。

 作品は白いオブジェ。抽象的で細かく繊細な作品。
塩保朋子 作品
↑こんな作品。(※画像はスカイ・ザ・バスハウスのweb上からお借りしてます。)

 小さめの作品から、数メートルの屹立する大型の作品もあった。

 蜘蛛の巣のような形のもの、波のようなもの、編み目のようなもの、渦を巻いている大きな流れのもの。それぞれ形状が違う。

 兎に角、その細かさはすごくて、それだけでも一見の価値がある。
 僕はアーティストという立場であり、最近考えていることの内で非常に重要なテーマの1つに「技術的にどうやっているのか分からない」というのがあるだけれど、まさにこれはそれです。This is it.

 緻密で繊細。とってもfragileな感じ。形になっているこの一瞬間。次の瞬間には形が崩れ、消えてしまいそう。しかし、弱くない。
 考えてみれば……、脆くて朽ちそうなものは、ある種の強い存在感を持つ。例えば、ヒビ入った骨董や剥落している絵画は、ピシッと完全体なものより存在感がある。傷つき弱っている生命を見たら、人は関心を持ち心を寄せる。表現や存在の強さとは必ずしも力ではない。

 とても大きな世界、それこそ宇宙的な広大さの縮図。あるいは、とても小さな世界、それこそ生命の中の極小の神秘の世界の拡大。それらは本来、大き過ぎて(小さ過ぎて)見ることが出来ない。作品を通してそういったことに思いを馳せたり、感じたりする。
 結局、そういう作品って、良い作品なんだよ。

 特に僕は最近『Intersteller』って映画を観たので、1番大きな作品は、宇宙を思ったなぁ。

 この展示にも言えることだけど、数年前から工芸的な作品が、日本のアート界では圧倒的に強くて前に出てきてるよね。今回もそれを強く感じました。つまり、自分への風当たりは厳しい(笑)。

 観て良かったです。オススメ。

---------------------
SCAI THE BATHHOUSE (上野)
〜2/21まで



 あと、東京芸術大学の卒展を観た。基本、もう大学の卒展を観に行ったりはしないのだけれど、今年は妻の友達が数名修了制作なので、それを観に。

展覧会 『芸大卒展2015』

 1人は体験型インスタレーション、もう1人は写真だったんだけど、良かった。2人とも僕は会ったこと無い人で、初めて作品見ました。

 インスタレーションの方は、作品の根底のテーマが僕と相通じるものがあって話が弾む。
 そして写真の方は、抜群に良くて、かなり衝撃でした。ギャラリーとか美術館の展示と同じ土俵で考えてもこれは相当良い線いっていると思って、こりゃーやられた!って感じでした。