アーティスト 加藤雄太 のブログ
展覧会のレヴュー、本の感想、その他制作の日々の模様など。
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『フランシス・ベーコン展』
 最近行った展覧会のうちから1つ。

 記事にしていないだけで、相変わらず割と多くの展覧会に行っています。
 そんな中、まだ会期が終了していない展覧会を。

 東京国立近代美術館で開催中の『フランシス・ベーコン展』。

展覧会 『フランシス・ベーコン』

 言わずと知れた20世紀の巨匠の1人。
 個人的には、とても興味のあるアーティストの1人、それがこのフランシス・ベーコン(Francis Bacon)である。

 日本でそんなに認知度が高くないことと、印象派や写実絵画のように誰が観ても「まぁキレイ」ってタイプの絵ではないので興行的に成功するのかという問題も有ってか、国内での大規模な展覧会は久しぶりである。

 展覧会自体は観易かったし、迫力がある大作もたくさん来ていて、とても良いものだと思う。

 ベーコンの作品については、「暴力的」という言葉がキーワードとされているが、恐らく多くの人が誤解しているように、これはベーコンの絵が暴力的という意味ではない。
 これは名詞ではなく副詞(「暴力的な」)である。人を現実に向き合わせたりという絵画の超越的な力、という意味なのだ。

 会場内で、ベーコンのドキュメンタリー映像(恐らく海外の番組かな)が、数分だけどループで流れていて、そこでもベーコン自身がこう言っていた。
 「暴力性が溢れているのは現実世界であって、画家の作品の中ではない」

 さて、ベーコンの作品は良くわからない。実際、僕も初めてまとまった数のベーコンの作品を観たけれど、よくわからない。
 しかし、個人的にベーコンの作品の魅力は何かというと、この「分からない」ということだと思う。

 本当に良い作品は、鑑賞者が一瞥をくれただけで、1から10まで何もかもが合点がいき、良く理解できてスッキリ気持ちいい、そんなものではないと思っている。
 本当に良い作品というのは、そう簡単には全貌を理解させない。
 格好良く言えば「未だ名付け得ぬもの」。簡単に言えば「得体の知れない何か」。そんなものが潜んでいるのであって、それが大事なのである。

 実は、今回のフランシス・ベーコン展、2回ほど行きました。
 僕がリピートする展覧会って結構レア。興味が有ったってことです。



[メモ]
東京国立近代美術館 (千代田区)
5月26日まで
巡回:→豊田市美術館


『モダン・アート, アメリカン』展
 先日、六本木の国立新美術館で行われている『モダン・アート, アメリカン』を観に行ってきた。

展覧会『モダン・アート, アメリカン』

 看板を見れば分かるように、エドワード・ホッパーの作品が大々的に宣伝されている。
 僕は、ホッパー作品が好きなので、それが見れるという事でも楽しみだったし、ロスコ作品が来ているということで、ロスコ大好きの僕は尚更のことこの展覧会を楽しみにしていたのであった。

 今回は、「モダン・アート, アメリカン」ということで、アメリカ美術の展覧会だけれど、「珠玉のフィリップス・コレクション」というサブタイトルがあるように、フィリップス・コレクションからの出展である。

 展覧会は、19世紀後半から始まって、最後の展示室は1950年代に一世を風靡した抽象表現主義の部屋となる。
 確かに、ヨーロッパの影響を受けた19世紀後半から、アメリカ合衆国独自の芸術を求めた表現が現れるその流れや、都市化による影響など、アメリカ美術の変遷を辿る事はできる内容ではあった。
 でも、正直退屈な展覧会だった。

 上の画像にあるオキーフの作品だとか、確かに良い作品もあるんだけれど、全体的に地味でした。

 ただ、これはアメリカ文学にも言える事だと思うのだけれど、あのどうしようもない広漠とした感じ。乾いた大地がどこまでも続く感じ。それは展示されている作品からもはっきりと確認できて、絵画も文学も関係なく、アメリカ合衆国という国が生み出す芸術に共通する感覚なのだろうと思う。そこが好きなんだよ。ホッパーもカポーティもさ。

 なので、もっと良い展覧会にしてほしかった。
 見応えがなかったので、とても残念です。



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
12月12日まで
『山本基 しろきもりへ ―現世の杜・常世の杜―』展
 さて、彫刻の森美術館の庭園は紹介したので、次は企画展の方の『山本基 しろきもりへ ―現世の杜・常世の杜―』。

展覧会『山本基』

 山本基(やまもともとい)[1966-]は、塩を使ってインスタレーション作品を制作するアーティスト。

 今回は、この展覧会のために、箱根に長期滞在し、作品をまさに出現させた。
 使われた塩は、計約7トン。

 最初の展示室は、大量の塩によって枯山水の庭園を思わせる情景が作られている。2つ目の展示室では、尖った鋭い岩山のようなオブジェが、これまた勿論塩で。最後の展示室では、床一面に、塩の線による模様が描かれている。

 展示はこの3室のみで、予想よりあまりに小規模で驚かされた。
 でも、特に最後の部屋の塩の模様図は見応えがありました。
 足場が組んであって、空中から見下ろせるようにもなっているんだけれど、海の白い波しぶきのようにも見えるし、うっそうと茂る森のようにも見える。
 いずれにしても、相当な面積を塩の線で描いてあるので、地震でも来たら消えてしまうのではないだろうか。(塩はただ床に置かれているだけなので、定着していない。そして、僕が観に行った数日前に実際地震があったけれど、とりあえず大丈夫だったそうです。)

 さて、塩を使うという表現は、作家は以前から行っているけれども、今回のタイミングでこういった展覧会を観ると、どうしても3月11日の地震を思う。
 津波となって荒れ狂う海。押し寄せた海水という塩水。
 それが、今回こうして芸術作品の素材として使われている。

 実際、今回の3つの展示室は、順に地上、上昇への憧れ、天界、のようなイメージになっているらしい。

 そして、この展示は来年の3月11日まで続く。
 最終日である2012年3月11日には、作品となっていた塩たちを来場者が持ち帰り、それぞれが海に還す、というプロジェクトがあり、それをもって展示の終了となる。

 生命は、海から来た。海と生き物は、勿論人間も、生きていく上でその関係は切り離せない。美しいと眺める海もあり、食や恵みをもたらすという面もあり、でも凶暴な牙を持って荒れ狂うという面も持っている。
 それを素材として、別世界や壮大なスケール感を見せるアート作品へと昇華し、様々な思いを抱かせ、時間がくれば全ての形を消し去り生まれでた海へと還す。

 展示の量は少なかったけれど、観て良かったと思う展覧会でした。
 それに、企画展のボリュームが少なくても、1つ前の記事で紹介したように、常設が沢山あるからね。興味がある方は足を運ばれてはどうでしょうか。



[メモ]
箱根 彫刻の森美術館 (神奈川県足柄下郡箱根町)
2012年3月11日まで
箱根 彫刻の森美術館と『山本基 しろきもりへ』展
 Blogを沈黙していた間、ぽつぽつとアートフェアや展覧会へ行っていたんだけれど、勿論もうそのほとんどが終了している。
 そんな中、この展覧会はまだ開催中なので、復帰戦にこれから書いてみよう。

 場所は、箱根 彫刻の森美術館。
 9月1日の迫り来る台風の中、レンタカーを借りて遥々箱根へ行ってきた。
 あ、ちなみに利用したのは、格安中古車レンタカーの「ニコニコレンタカー」。12時間2525円です!相当昔のおんぼろマーチだったけど、安いからオッケー。既にボコボコでこすってあるし、緊張しないで済んだしね(笑)。

箱根彫刻の森美術館 01
 到着。初めての訪問です。
 箱根の山をくねくねくねくねとかなり登ったとこにあって、それはそれは山の上の美術館でした。

箱根彫刻の森美術館 02
 お庭。
 ロダンの有名なバルザック像がお出迎え(右のやつ)。これは、リアリティを追求してロダンが作ったんだけど、多くの資料などからバルザックの姿に迫り、その結果、バルザック本来のリアルさ、即ち、お腹とかぶよぶよだったバルザックを再現した彫刻となって大顰蹙(ひんしゅく)を買い、ロダンは仕方なく長めのコートのような服装にして醜い体のフォルムを隠した。それでもサロンでは酷評で、確か依頼した文芸家協会かなんかは怒って受け取りを拒否したんだったと思う。

 そんな話はさておき。今日はプチ旅行で気分転換。

箱根彫刻の森美術館 03
 相当な山の上、森の中、なことが伝わるでしょうか。

 美術館の名前は有名だけれど、やっぱり都心とかの美術館行っちゃうし、実際に足を運んだ事がある人は少ないんではないだろうか?

箱根彫刻の森美術館 04
 広大な敷地には、沢山の立体が展示されています。散策路のように、ずーっと続いている。

箱根彫刻の森美術館 05
 これは、確か佐藤忠良の作品。

箱根彫刻の森美術館 06
 不思議な立体作品。

箱根彫刻の森美術館 07
 近づくとこんな感じ。

箱根彫刻の森美術館 08
 こんな人たちもいたり。

 とまぁ、色んな作品が点在していた。
 途中、ザザーッとシャワーのような雨が降ったりしたけれど、天気は概ねもってくれた。

箱根彫刻の森美術館 09
 ネットの森。
 名前の通り、内部はネットを張り巡らせた遊具のような空間になっていて遊ぶ事が出来ます。

 あ、そうそう。あと、この美術館の感動したところとして、散策路の端っこや陰の方にあるトイレとかまでピカピカ綺麗で手入れが行き届いていたことを挙げたい。素晴らしい管理体制だと思った。そういうところも気持ちよかったです。

 さて、美術館本館から一番遠い辺りまで散策路を進むと‥‥

箱根彫刻の森美術館 10
 ピカソ館があります。
 ピカソ作品オンリーの建物。
 グミみたいな見た目の素材“ジュマイユ”(一応ガラス?)で作ったステンドグラスみたいな絵画があって、そんなの作ってたなんて知らなかったから、とても新鮮に観た。あまりにも斬新で現代的なので、最初観たときは現代の技術で作った複製のインテリアかなにかと思ったくらいです。

箱根彫刻の森美術館 11
 山の中だ‥‥。

箱根彫刻の森美術館 12
 ピサの斜塔のような建造物。実際に中の螺旋階段を登る事が出来る。
 僕も登ってみたけれど、雨で足下が濡れていて、階段はかなり急だったので、結構な危険を感じ途中で降りました。

 お土産とか売っている建物の横には‥‥

箱根彫刻の森美術館 13
 まさかの足湯!
 天気が天気なので誰も浸かってなかったけれど、僕はモチロン(笑)。ピサの斜塔を眺めながらまったりと。

 そして、この辺りから漸く復路になる。広いでしょ!?

箱根彫刻の森美術館 14
 この色遣い。このフォルム。分かる人には分かる、ニキ・ド・サンファールですね。

 ニキ・ド・サンファールの彫刻の側には‥‥

箱根彫刻の森美術館 15
 これは笑った。

箱根彫刻の森美術館 16
 もうすぐスタート地点。

箱根彫刻の森美術館 17
 見えますか?上空の彫刻。
 遥か空へ…。

箱根彫刻の森美術館 18
 そして、撃墜(笑)。
 いやだって、位置関係的にそうとしか見えない。

 とまぁ、盛りだくさんな彫刻の森美術館の庭園の画像を載せていたら、肝心の企画展に触れるにはあまりに長くなり過ぎたので(苦笑)、それはまた別エントリーとしてアップします。



[メモ]
箱根 彫刻の森美術館 (神奈川県足柄下郡箱根町)
年中無休 9:00〜17:00
『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』
 さて、久々に展覧会の記事を書こう!
 今日行きたてほやほやの展覧会から。

展覧会『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』
 国立新美術館にて開催中の『ワシントン・ナショナル・ギャラリー展』。

 印象派の展覧会なんて、あちこちで度々行われるので珍しくもないし、でも日本人は印象派大好きだし、毎回盛況となるものだ。
 だからこそ逆に質の高い展覧会はあまり無い。

 今回の展覧会は、ナショナル・ギャラリーの西館の大規模改修に伴い実現したもの。
 元々コレクションの質が高いのは周知の通り。そして、そういった質の高い作品が多く来ているようなので期待していた。

 展示室に入り、作品を見回すと、期待を裏切らない展示!
 いやー、良かったよ!

 クールベ、ブータン、マネなどから始まり、ピサロやモネやドガ、そしてセザンヌ、ゴーギャンゴッホ、などなどと印象派とその前後周辺の作品群から構成されているのだが、これが貸し出しケチってない感じの良質な作品に溢れていて、ホント見応えがある。

 なんでも、ナショナル・ギャラリーには「常設コレクション」が設定されていて、それらは1度に12点までしか貸し出しされないという決まりがあるらしい。そして、今回その常設コレクションから9点がこの六本木に集結している。

 また、版画などの紙媒体の作品のみの展示室があったのだけれど、ナショナル・ギャラリーの紙媒体作品は、各作品計15回までしか貸し出し出来ないらしいのだが、そのうちの貴重な1回が今回ということになる。

 まあ、そういうマニアックなことはさておき、本当に良い作品が多かった。
 その中でも特に、マネとモネとセザンヌが良かったな〜。やっぱ、偉大だ、彼らは。

 展示もゆったりと配置されていて観易く、しかも比較的空いていてじっくりと観ることができた。

 ちなみに、ナショナル・ギャラリーは National とは言っても国立じゃないよ。あくまで名称。日本の電機メーカーのナショナルみたいな感覚。
 市民の寄付によって出来た美術館。それが National Gallery なのです。日本でも一時期「小さな政府」なんて言葉が聞かれたけれど、こういうことが成立するアメリカ合衆国って国は、本当の意味で「小さな政府」って言葉が意味を持てる国なのだろうと思います。

 昔からこのブログを読んでいる方々は知って頂いていると思うけれど、僕が記事文中で「おすすめ」と書いた展覧会は本当におすすめです。そいういうのしか、決して「おすすめ」とは書かない、と決めているのです!
 そして、この展覧会はおすすめと言えるでしょう。楽しめる展覧会だと思います。


 ※印象派について知りたい方は、過去に書いた印象派講座の記事をどうぞ♪



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
9月5日まで
『TOKYO FRONTLINE』と『G-tokyo 2011』
 先月下旬のことになるけれど、2つのアートフェアに行ってきた。
 1つは、今回が初めての開催となる『TOKYO FRONTLINE』。もう1つは、去年も行って興奮した『G-tokyo』。

 まずは『TOKYO FRONTLINE』。
 これは秋葉原からほど近い場所にある、廃校になった旧練成中学校を再利用した複合型アート施設として話題の「3331 Arts Chiyoda」が会場。

TOKYO FRONTLINE 2011
↑実際、学校の姿がそのまま残っています。

 さて、このフェアは初めてということもあって、どんなかんじなんだろうと思いながら行ってみたけれど、これがこれが面白い!

 フライヤーからフェアの説明を抜粋引用すると
-------従来のブース売りのアートフェアではなく、若手アーティスト38名を選抜したショーケース「FRONTLINE」、日本とアジアに拠点を置く21のエキシビターによる「GYM」、写真、デザイン、音楽、出版、ファッションなど、国内外の最前線で活躍するジャンルを超えた17の企業・団体による「EXCHANGE」の3セクションを主軸に構成。-------

 実際、会場を巡ってみると不思議な構成になっていて新鮮だった。
 作品も、国内トップクラスのギャラリーの作家のとか沢山あって、見応えがありました。海外のギャラリーも結構あった気がする。

 お客さんも沢山来ていて、こんなに盛り上がってんのか!と驚いたのです。
 活気があって、なんか嬉しかったな。
 良いフェアだと思うので、続いていって欲しい。会場も良いと思いました。


 そのまま、『G-tokyo 2011』へ。
 会場は六本木ヒルズの森ビル、森アーツセンターギャラリー。
G-tokyo 2011

 こちらはこちらで、日本トップクラスのギャラリーのみでの、少数精鋭のブース構成なので、クオリティの高い作品を、広々とした空間で見ることが出来る。
 ホント日本の他のアートフェアは、すごく狭くて、作品にぶつかって壊さないかとヒヤヒヤするくらい窮屈で見辛いので、これくらいのスペースがあると嬉しいです。

 あと、ギャラリーが一流なのもあるだろうけれど、展示もゆったりと、スペースもゆったりとしているので、なんというか凄くオシャレ感というか(笑)、余裕な感じがあって、素敵です(謎な言い回しだ)。

 ただ、去年よりは元気がない感じがしたなぁ。
 去年はもっと活気あったように思う。

 いずれにしても、このフェアもずっと続いて欲しいと思うのです。


 観終わった後は、関連イベントの茂木健一郎さんと森美術館の南條館長とのトークを聴講。
 忘れちゃいけない大切なキーワードがあったけれど、聞いていた人は気づいたのかな〜。


 両フェアとも、今年のは既に終了してしまったけれど、来年も開催されたら是非足を運んでみて下さい。
『損保ジャパン美術財団 選抜奨励展』
 今日から、『第30回 損保ジャパン美術財団 選抜奨励展』が始まりました!
 それに先駆け、昨日は内覧会とレセプションパーティーが開かれたので、行ってきたのです。
展覧会『損保ジャパン 選抜奨励展』2011

 会場は、新宿西口からすぐの、損保ジャパン本社ビルにある、損保ジャパン東郷青児美術館。ゴッホのひまわりを所有している美術館です。

 この選抜奨励展は、普通の公募展とは違い、作家の意志で出品できるものではありません。全国にいる推薦委員が推薦した若手作家と、各団体展で損保ジャパンの賞を獲った作家だけが参加できる展覧会です。
 僕、加藤雄太も今回、以前の個展がきっかけで推薦枠の方で参加の機会を頂きました。
 《旅する舟のように》という作品を出品しています。

 会場に着くとかなりの人出。
 とりあえずささっと会場を観て、パーティー会場へ。こちらも凄い人。
損保ジャパン 選抜奨励展 パーティー風景

 とりあえず、落ち着いてワインを飲み続けました。

 ちなみに、食べ物も沢山食べようと思っていたのですが、今まで出席した展覧会のオープニングと違い、食べ物が補充されなかったので、すっかり次々に補充されるだろうと思って安心していた僕は食べ損ねました。
 凄い勢いで空っぽでした。
 空の器を撮っていれば、もうちょっと辛酸なめ子っぽいレポートが出来たのではないかと、ちょっと悔しく思っています。

 とまぁ、そんなことはさておき、流石30回も続いてきた展覧会だけあって、とてもしっかりしている印象。
 特に今回は、展覧会自体の若返りを図ったのか、去年までよりもずっと良い印象を受けた。
 沢山の作家さんの作品が観られるので、どんな作家が推薦されているのかを見るだけでも、面白いと思う。
 普通の公募展は3〜5人くらいの審査員によって全ての作品が決められるが、それと違い、多くの推薦委員から推薦された人たちなので、作品に偏りがないのが特徴だろう。そういった意味でも、広く現代の平面作品事情を見られるのではないだろうか。

損保ジャパン 選抜奨励展 入り口

 兎に角、大変良い機会を与えていただけて、本当に感謝しています。
 凄く励みになります!

 多くの人の目触れるし、作品が広まるきっかけになればと思いますので、どうぞ足を運んでみて下さい。

 入場すれば、常設のゴッホ《ひまわり》、ゴーギャン《アリスカンの並木道、アルル》、セザンヌ《りんごとナプキン》も観られます。

 会期は、今日2月26日〜4月3日です。
 よろしくお願いします。



[メモ]
4月3日まで
『文化庁メディア芸術祭』
 久々に、1日何も無い休日だったので、六本木へ行ってきた。

 国立新美術館。
 現在開催されている、入場無料の『文化庁メディア芸術祭』を観る。
展覧会『文化庁メディア芸術祭』2011

 今回で14回目となる文化庁メディア芸術祭。
 アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの各分野で作品を募り、受賞作が展示されている。
 毎年、大変な注目を浴びているイベントなので、この日も平日に関わらず、かなりの賑わいだった。

 特に、アート部門とエンターテインメント部門は興味深く、最先端のテクノロジーを駆使した驚愕の作品群!!

 印象に残っているものを挙げると……

 電車から撮影した車窓からの風景の動画。その動画がスクリーンに映し出されているのだけれど、なんとその動画の印象をコンピュターがピアノで曲にして演奏していた。動画の再生と同時にですよ!!しかも、ちゃんとそれなりの曲になっている。
 人の意識が介在しない音楽。それも風景からの印象による。…凄い時代だ。
(『sound / tracks』/Peter Knees, Tim Pohle, Gerhard Widmer)

 あとは、Googleマップ・ストリートヴューの画像を連続させて制作された動画が面白かったな。ストリートヴューを自分で使っている時は思いもしなかったけれど、こうして繋げて動画にしたのを見てみると、世界中何処でもロードムービーに出来るね。夜のないロードムービー。
(『NIGHT LESS』/田村友一郎)

 衝撃的だったのは、1cm四方もないくらいの小さなゲル状の物体。見た目はヤマト糊っぽいというかそんな感じなんだけど、それが小さな透明な箱の中に入っていて、ゆっくりと動いていた。
 磁力を持った物体らしいんだけど、その動きたるや、単細胞生物っていうか虫っていうか、そんな感じで、驚きの「生命っぽさ」。
 命のないものに、命や意志を感じる不思議。
(『Blob Motility』/脇田玲、中野亜希人、小林展啓)

 と、まぁ、他にも色々と凄いのがありました。体験型のもあって、ヴァーチャル・フットサルっていうかヴァーチャル・エアホッケーの様なものをやったりした。

 いやぁ、色々と考えるよね。
 未来って凄いだろうな。
 こうなってくると、むしろ何ができないんだろう?

 本当に楽しく、興味深い展示内容だった。
 結果、この後観る『シュルレアリスム展』より楽しんだのだ(笑)。
 必見!おすすめです。



[メモ]
国立新美術館 (六本木)
2月13日まで
『琳派芸術 ―第1部― 煌めく金の世界』展
 さて、ネット沈黙の間にも色々と展覧会行っており、昨年分から書いていない展覧会もあるのだけれど、会期が終了してしまったものとかも多く、とりあえずつい最近行ったこの展覧会の記事でスタートしようかと。

展覧会『琳派芸術 第1部』

 有楽町の出光美術館。『琳派芸術』という展覧会。
 これは、酒井抱一の生誕250年を記念してのもので、会期が2期に分かれている。
 現在は第1部の会期で、『煌めく金の世界』というタイトルが付いている。

 何度か言ったことがあると思うけれど、僕は酒井抱一が好きなんだよね。
 それと、これは僕のネット沈黙の原因の1つでもあったのだけれど、なんか最近のあれやこれやと“発言力”のある人の発した言葉によって、従順に動き回り肯定する若い学生なんかを見ていると、ホント虚しくなって、ほとほと嫌になって、脱力を通り越した憤りを感じていたんだな。まぁ、この辺は機会があればまたそのとき話すとして。
 兎に角、何かしら時間のふるいの中を生き残り続けたマスターピースを見て、安らぎたかったのだ。

 で、観に行ったら、第1部は抱一はなく宗達や光琳がメインであった(笑)。

 でも、良かったなぁ。
 いや〜、琳派なんて色んな作品見てるし、何回も見てるし、西洋美術でいう印象派のような日本人が大好きなもので、ベタだし、っていうのは分かる。分かるが、そういうことじゃないんだよ。やっぱ良いものは良いんだ。

 前、尊敬するとあるモジャモジャテンパさんが言っていたなぁ。印象派なんてデパートでおばさんたちが綺麗ねぇなんて言いながら見るものだと思っていたけど、直島で大好きなジェームス・タレルの作品を見て、満足して、その後奥のモネの部屋へ行ったら、立ち上がってくる作品の力に圧倒されたと。つまり、モネの前にタレルが敗北した瞬間だった、と言っていた。
 記事を書きながら、そんな話を唐突に思い出した。

 色紙の小品に砂子(すなご=金箔を細かくして播いたもの)が播かれた小品とか、印象に残っているなぁ。

 まぁ、ちょっと感情的に感想を書いたので、超絶賛みたいな文章になってしまったが、実際は琳派の展覧会としては、ちょっと地味だと思う。
 でも、充分に見所がある内容だった。
 本阿弥光悦の書も見事。
 尾形乾山の乾山焼きも見事。

 眼差しとか、美意識とか、改めてグッとくる。

 なんにしても、こうした芸術に触れて、ちょっと精神が潤った。
 今まで観てきた色んなものを綜合して、そして、自分の画面に放出しようと思う。



[メモ]
出光美術館 (千代田区)
2月6日まで
『桑原弘明展』
 さて、もう1つ行っていた展覧会を紹介しておこうかな。
 残念ながら、もう会期は終了してしまったけれど、毎年観に行ってこのブログでも書いている桑原弘明さんの個展を。

展覧会『桑原弘明』2010

 桑原弘明[1957-]は、ボックスアートの作家。
 真鍮の手のひらサイズの箱の中に、極小の世界を築き上げ、箱に付いている覗き穴というかスコープから内部を見る、という作品。これが、本当に素晴らしい。

 もともと知る人ぞ知る作家さんだったのだけれど、口コミとかでどんどんと広まったようで、数年前からは、初日完売のアーティストとなった。

 真鍮の箱の中は、そのまま覗いても光源がなく真っ暗なので、箱の周りに空いているライト専用の穴からペンライトで光を当ててもらうことによって、内部が初めて見えるようになる。
 そして、ライトを当てる穴は複数あるので、何処から光を当てるかによってライティングが変わるのはもちろんなのだが、ホント不思議な程見えてる世界が激変するのだ。
 この辺は、やっぱり実際に体験しないとなかなか飲み込めないかもしれない。
 とても小さいけれど、体験型のアート。そしてそれは、自分で自由に体験する、というものではなく、第三者に光を当ててもらうことによって初めて体験できるものなのだ。

 今回も、本当に緻密で精巧な世界が箱の中に広がっていた。実際、中のモチーフたちは1ミリとかそういう大きさ、或いは物によってはもっと小さいサイズである。
 それらが、スコープを覗いてみると、本当に精巧で、例えば壁の質感とか、ちっちゃなリンゴとか、星空とか、噴水とか、机とか、驚く程のクオリティをもったミニチュアたちが、見事に世界を作り上げている。それら全てが、手のひらより小さい箱の中に収まっているのだ。
 しかも、それら見える景色が、どれもこれもセンスいいんだよ〜!

 そういった世界が、光の加減で様々に表情を変える様は、1度体験するべきだし、体験すると病みつきになるだろう。特に初めて経験したときの驚きと感動は、きっと想像以上だと思う。

 ミクロコスモスとしての、極小の真鍮の箱。マクロコスモスとしての、箱の中に広がる世界の大きさと密度。
 そのギャップも、そこに詰まった非常にポエティックな世界も、大変魅力的なのだ。

 特に今作は、光を当てる穴が多めで、より沢山の変化があったように感じた。
 また来年の展覧会が楽しみです。
 おすすめでした。


---参考 以前の桑原弘明展の記事---
2005年12月(作品の詳細が見れるページへのリンクあり)



[メモ]
ギャラリー椿 GT2 (京橋)
会期終了